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聖徳太子の願いが成就したお寺

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がんじょうじゅじ

願成就寺

滋賀県近江八幡市

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仏教の教えを国の礎とした聖徳太子。多くの寺院が伽藍を構えている滋賀県には、聖徳太子とゆかりの深い寺院が現在に至るまで大切に守り伝えられています。その中で、近江八幡市に伽藍を構える願成就寺は、聖徳太子の願いを成就したお寺であることから、『願成就寺』と名付けられました。願成就寺には、聖徳太子の仏さまをはじめ様々な仏さまがおまつりされています。

巡りポイント

願成就寺には創建した聖徳太子ゆかりの仏さまや神仏習合の文化を今に伝える仏さまなど様々な仏さまがおまつりされています。

ご本尊・大光普照十一面観音(国指定重要文化財)

聖徳太子が造立したと伝わる観音さま

本堂の中央の厨子におまつりされる願成就寺のご本尊・大光普照十一面観音菩薩。願成就寺が創建される際、聖徳太子が1回彫るごとに3回礼拝して造立した観音さまと伝わる。通常49年に一度の御開帳とされているが、25年に一度、中開帳としてお姿が公開される。

感想■今回の訪問では、秘仏のため直接お姿を拝することはかないませんでしたが、お姿を写した写真パネルをご住職に見せていただきました。非常に愛らしい表情をされている仏さまで、御開帳の際には、たくさんの方が参拝に訪れるとお聞きしました。次の御開帳まで20年ほどとお聞きしたので、その際にお姿を拝したいと心に誓いました。
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日牟禮八幡宮本地仏・阿弥陀如来立像

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集落の病を封じた阿弥陀さま

本堂向かって右手の厨子の内部におまつりされている阿弥陀如来立像。この阿弥陀如来立像は南北朝時代に造立されたと考えられている仏さまで、明治時代までは日牟禮八幡宮の境内にておまつりされていた。江戸時代、付近の13の集落において病が流行した際、このお像の姿を掛け軸に写してそれぞれの集落で病の終息を祈願した。その結果、病が終息したという逸話がある。そのため、毎年4月8日に13の集落の代表者がそれぞれの集落におまつりされる阿弥陀さまの掛け軸をこのお像の前に持ち寄り、法要が行われる。なお、その際の形式は真宗の形式で法要が進められ、地域の祈りの場所としての願成就寺の姿を今に伝える。

感想■金色に光り輝く阿弥陀さまの美しい姿が印象に残っています。お像の前には、毎年4月8日に行われる法要の様子を映した写真が飾られていました。その写真には、この阿弥陀さまを中心に13の集落でおまつりされる掛け軸が掛けられ、壮大な空間が広がっていました。

四天王立像

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ご本尊の周囲を固める勇ましい仏さま

ご本尊をおまつりする厨子の周囲には、東西南北の四方を守護する持国天立像、広目天立像、多聞天立像、増長天立像の四天王立像がおまつりされている。それぞれ刀などの武器を持ち、足元には邪気を踏みつけている勇ましい姿をしている。

感想■邪気を踏みつけ勇ましい姿を参拝者に見せる四天王立像。勇ましい姿ですが、表情をよく見ていると、目を大きく見開き個性的で親しみを抱きました。また、踏みつけられている邪気も非常にユーモラスな表情をしていました。

南無太子像と孝養像

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本堂にまつられる2歳と16歳の聖徳太子像

本堂にはそれぞれ年齢の異なる聖徳太子像がおまつりされている。本堂正面左手におまつりされているお像は『南無太子像』と呼ばれ、聖徳太子が2歳の時、東の方向を向き合掌して『南無仏』と唱えたときの姿をあらわしている。このお像は南北朝時代に造立されたと考えられている。絵画として描かれている聖徳太子像は『孝養像』と呼ばれ、聖徳太子が16歳の時に父である用明天皇の看病をしている姿をあらわしている。聖徳太子が願成就寺を創建するだけでなく、願成就寺の創建の際に付近の地域に数珠と瓦の生産を伝えたという。これらの産業は現在も伝えられている。

感想■様々な聖徳太子像がおまつりされ、聖徳太子がいかに願成就寺にとって大切な存在であることがわかりました。また、願成就寺だけでなく地域の産業も聖徳太子がかかわっているとお聞きし、お寺だけでなく地域にとっても聖徳太子は大きな影響を及ぼしていたことを学びました。

護摩堂と五大明王像

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人々の祈りを受け止める勇ましい仏さま

本堂の隣にある護摩堂は、滋賀県内の天台宗寺院でも有数の護摩道場として知られている。護摩堂の中央には不動明王を中心に五大明王像がおまつりされている。毎年夏には、護摩堂にて祈願者の病を封じる『きゅうり封じ』の祈願が行われる。きゅうりに梵字などが墨書きされ、そのきゅうりを竹筒に封じるという祈願は願成就寺独特の伝統であるという。

感想■護摩堂におまつりされる五大明王像のお姿は非常に勇ましく、目力に圧倒されました。ご住職から伺った願成就寺独特の修法『きゅうり封じ』にも非常に興味を持ちました。

木ノ中地蔵(国指定重要文化財)

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1本の霊木から3躯のお地蔵さまが造立される

地蔵堂の本尊であるお地蔵さまは『木ノ中地蔵』と呼ばれ、1本の霊木から3躯のお地蔵さまが造立され、そのうちの真ん中の部分から造立されたお地蔵さまであることから『木ノ中地蔵』と呼ばれるようになったという。なお、根本付近から彫られたお地蔵さまは『木ノ本地蔵』、先端から彫られたお地蔵さまは『木ノ末地蔵』と呼ばれ、滋賀県内の寺院におまつりされている。『木ノ中地蔵』は国の重要文化財に指定され、毎年9月23日に御開帳されている。

感想■滋賀県内でも有名な長浜市にある『木ノ本地蔵』。この『木ノ本地蔵』と同じ木から造立されたとされるお地蔵さまが願成就寺におまつりされていることは知りませんでした。非常に凛々しいお顔をされていることが印象に残っています。

満願寺地蔵(滋賀県指定文化財)

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聖徳太子が創建した満願寺より移ってきた平安時代のお地蔵さま

『木ノ中地蔵』の厨子の前にお前立として安置されるお地蔵さまは『満願寺地蔵』と呼ばれ、もともとは聖徳太子が創建した満願寺に伝わっていたお地蔵さまとされている。満願寺が廃寺になった際、願成就寺に移ってきたとされる。平安時代に造立されたと考えられている貴重なお地蔵さま。

感想■『木ノ中地蔵』よりもすこし小ぶりなお地蔵さまですが、横から見ると奥行があり、非常に堂々とした印象をうけるお地蔵さまでした。聖徳太子が創建した別の寺院に伝来したお地蔵さまが願成就寺に集うことに奇跡的な縁を感じました。

閻魔大王と奪衣婆

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お地蔵さまの化身である閻魔大王と奪衣婆も一緒にまつられる

地蔵堂にはお地蔵さまの化身とされる閻魔大王と亡者の服をはぎ取る奪衣婆がおまつりされる。ともに非常にユーモラスな表情を参拝者にむけている。

感想■地蔵堂におまつりされる閻魔大王と奪衣婆のおどろおどろしい表情が印象深く心に残っています。閻魔大王の前に安置される浄玻璃の鏡に過去の悪行がうつるかもとお話しされるご住職との交流が楽しかったです。

report

学生レポート

立命館大学生命科学研究科3年

今回の訪問では、様々な仏様がおまつりされる願成就寺の空間に圧倒されました。聖徳太子が造立したと伝えられるご本尊さまの愛らしい表情や四天王像や五大明王像の威厳があり迫力あるお姿、神仏習合の信仰を今に伝える金色に光り輝く阿弥陀さま、平安時代と鎌倉時代のお地蔵さまが並ぶ地蔵堂など、さまざまな仏さまがおまつりされる空間に歩みを進めると仏さまが醸し出す信仰の空間のすばらしさに息をのみました。このような祈りの空間が今も伝えられている近江の文化の厚さに驚かされた訪問でした。

history

ご由緒

推古天皇27年に推古天皇の勅願に従い聖徳太子により創建されたという。聖徳太子は近江の国に48か所の寺院建立を行うことを目標とし、願成就寺は最後の48か所目の寺院であった。そのため、無事に48か所の寺院が建立され、願いが成就したということから『願成就寺』と名付けられた。中世までには日牟禮八幡宮の別当寺となり、神仏習合の信仰が今でも色濃く伝えられている。

info

参拝情報

名称
比牟礼山願成就寺
(ひむれさんがんじょうじゅじ)
所在地
滋賀県近江八幡市小船木町73-1
googleMAP
参拝時間
10:00~16:00
拝観料
入山料:無料
宗派
天台宗
御本尊
大光普照十一面観音
宝物殿
アクセス
【公共交通機関】JR琵琶湖線 「近江八幡」 下車 バス 5分 「小幡町資料館前」バス停から徒歩約10分
【自動車】名神竜王ICから30分
駐車場
有り(無料)

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