「歴史を繋いだ想いを未来へつなげる」日本文化の魅力交流ポータル

  • Instgram
  • facebook

美しい自然の中に観音さまの浄土が広がる

いいね 0

きょうりんぼう

教林坊

滋賀県近江八幡市

  • 行きたい
  • 行った
多くの歴史あるお寺が伽藍を構える繖山(きぬがさやま)。その麓に聖徳太子により開かれた古刹が教林坊です。茅葺き屋根の書院や美しい自然に彩られる境内は、観音さまの霊地であるよう。その美しい境内に多くの人々が集います。

巡りポイント

今より1000年以上昔、聖徳太子が巨石の上で様々な生物に仏教の教えを説いたという教林坊。そんな教林坊の境内には、様々な動植物が集い、教林坊の境内には自然が調和し美しい風景が広がっています。

ご本尊・石仏の観音菩薩さま

  • ご本尊・石仏の観音菩薩さま
  • ご本尊・石仏の観音菩薩さま
  • いいね

岩屋の中にまつられる聖徳太子造立の観音さま

大きな岩が重なる岩屋の中、そこに教林坊のご本尊・観音菩薩がおまつりされている。かつて仏教の教えを発信する場所を探していた聖徳太子は、山麓に光り輝く場所を発見して観音菩薩と遭遇し、この地に寺を建てて仏教の教えを説くように伝えられたという。その言葉に従い、聖徳太子は観音菩薩の姿を石に彫り、岩屋の中に安置した。その石仏が教林坊のご本尊であり、現在も岩屋の中におまつりされる。岩屋の上には「太子の説法岩」と呼ばれる巨石が残り、林の中で説法されたことから「教林坊」と名付けられた。

感想■人の背丈以上の大きな岩から構成される岩屋。その圧倒的な大きさに圧倒されながら内部を除くと、3体の石仏が安置されていました。聖徳太子が刻んだというご本尊は残念ながら摩耗しておりおおまかにしか姿はわかりませんでしたが、どこかあたたかく優しい印象を受けました。

書院(近江八幡市指定文化財)

  • 書院(近江八幡市指定文化財)
  • 書院(近江八幡市指定文化財)
  • 書院(近江八幡市指定文化財)
  • 書院(近江八幡市指定文化財)
  • 書院(近江八幡市指定文化財)
  • 書院(近江八幡市指定文化財)
  • いいね

貴重な里坊建築を今に伝える茅葺の建物

書院は江戸時代前期に建立された茅葺屋根の建物である。書院内部には庭園側に付書院が設けられている。通常付書院の近くには掛け軸をかける床の間が設けられるが教林坊の書院には設けられていない。付書院の障子を開けると庭園の石組が見え、その様子が掛け軸がかけられているように見えることから「掛軸庭園」と呼ばれ、床の間が設けられていないという。また、階段を上り屋根裏に上ると、教林坊に伝えられた文書や文化財が展示されている。また、大黒天像や聖徳太子像、近江八幡市指定文化財の釈迦如来像がおまつりされている。

感想■付書院の障子を開けると、まさに石組が障子に切り取られ、掛け軸がそこにかけられているかのように感じられました。ご住職によると季節の移ろいに従い見える景色は変化していくそうで、このしつらえを考案した人は粋だなと思いました。

庭園(近江八幡市指定名勝)

  • 庭園(近江八幡市指定名勝)
  • 庭園(近江八幡市指定名勝)
  • 庭園(近江八幡市指定名勝)
  • 庭園(近江八幡市指定名勝)
  • いいね

作庭の名手・小堀遠州が作成した名庭

書院の西面に広がる庭園は、江戸時代初頭に活躍した小堀遠州の手による作庭と伝わる。聖徳太子が説法したと伝わる説法岩をとりこみ、大きな石を利用した豪快な石組が特徴である。書院側には池が設けられ、池の対岸を蓬莱山に見立て不老不死の世界を表現している。また庭の石組を使って鶴や亀を表現し、聖徳太子の説法岩を中心にし、説法を聞いているように配置されている。その中にカエルのように見える岩があり、聖徳太子が仏教の教えの勉強中に鳴き声がうるさく聖徳太子に懲らしめられたという逸話が残るため、カエルだけ説法岩に背を向けたように見える配置になっている。なお書院南面には室町時代に作庭されたという庭園が残されている。

感想■大きな石と緑豊かな植物に彩られた庭園は時間を忘れていつまでも眺めていられる美しい庭園でした。また、聖徳太子が説法した逸話を再現するとともに、カエルだけそっぷを向いているように配置されているとお聞きし、その遊び心がおもしろかったです。

本堂

  • 本堂
  • 本堂
  • 本堂
  • 本堂
  • 本堂
  • いいね

建物内から岩屋内のご本尊を拝むことができる珍しいつくりの建物

本堂は瓦葺の建物であり、内部に様々な仏さまがおまつりされている。特にお前立の観音菩薩さまの背後がガラス張りになっており、背後の岩屋が見えることがわかる。これは建物内から岩屋内のご本尊を拝むことができるようにしているという。他にも本堂内には仁王像、聖天さま、不動明王像がおまつりされている。

感想■本堂内に入ると様々な仏さまがまつられる仏さまの空間が広がっていることに息をのみました。大きな仁王像が脇を固めるお前立像は、伏し目がちな目元がどこか憂いを帯びているように思え、心がひきつけられる仏さまでした。また、本堂内から外にある岩屋内のご本尊さまを拝む独特の建築様式に、この配置を考えた人々の考え方におもしろさを感じました。

report

学生レポート

立命館大学生命科学研究科3年

ご住職のお話の中で登場した、「初めて荒れた教林坊を訪れたとき、そこには観音浄土のような美しい空間が広がっているように思えた、そして復興した光景が鮮明に浮かんだ」という言葉が印象深く残っています。ご住職が最初に抱いたその思いが現実となり、今私たちが見ることのできることの凄さに圧倒されました。かつて、聖徳太子が大きな岩の上で生きとし生けるものに教えを説かれたことに始まるという歴史を持つ教林坊。最初はご住職一人の復興が、復興が進むにつれて様々な人々がお寺に集い復興が続いてきたと伺い、まさに人々が集う霊地なのだと感じました。

history

ご由緒

推古13年(605)に聖徳太子によって創建されたと伝わる。この地を訪れた聖徳太子が林の中の大岩の上で教えを説いたことが寺号の由来。ご本尊は聖徳太子が石に刻んだとされる観音像。難産を帝王切開により助けたという伝承から子授け・安産守護の信仰や困難な願いも二度参拝すれば成就するという「再度詣りの観音さま」としての信仰もある。江戸時代前期に建立された書院の周辺には室町時代に整備されたという庭園や小堀遠州により築かれたという庭園が広がり多くの人々が集う。

info

参拝情報

名称
繖山教林坊
(きぬがさざんきょうりんぼう)
所在地
滋賀県近江八幡市安土町石寺1145
googleMAP
参拝時間
■緑の公開 4月中旬〜6月30日の土日祝日、10月1日〜30日の土日祝日のみ公開。
■紅葉の公開 11月1日~12月15日の毎日公開。※時間:9時半~16時半(ライトアップ期間中は8時半から)
■紅葉ライトアップ 11月15日~12月初旬※ライトアップは17時半〜19時(18時半受付終了)
拝観料
■緑の公開 大人800円、小中学生200円
■紅葉の公開 大人1000円、小中学生300円
■紅葉ライトアップ 大人1000円、小中学生300円
宗派
天台宗
御本尊
十一面観音
宝物殿
アクセス
【公共交通機関】JR安土駅下車、徒歩60分。安土駅北口よりタクシーで約10分
【車】名神竜王インターより国道8号線経由約20分
駐車場
普通車100台 大型車8台
Webサイト
https://kyourinbo.jimdofree.com/

近くの寺院を巡ろう