善水寺は和銅年間に創建されたと伝わる古刹。延文5年(1360)の火災により前本堂が焼失してしまった後、貞治5年(1366)5月に現在の本堂が再建された。桁行七間、梁間五間の大堂で、内部は礼拝修行のための道場である外陣、御本尊様をまつり密教修法の道場である内陣、諸堂より集められた仏様をおまつりする後堂に分かれている。
本堂内陣には本堂と同時期に造られた杮葺きの厨子があり、その内部に秘仏である御本尊・薬師如来坐像(国指定重要文化財)を安置している。天台密教仏堂を代表する建築として、国宝に指定されている。
戦国時代、織田信長による比叡山焼討ちの3日後に善水寺も焼討ちされた。その際、本堂や仁王門、三重塔、鎮守社(本堂以外現存せず)の4棟だけが被害を免れたという。本堂の柱には、焼討ちの際についたと推測される刀傷が刻まれている。焼討ちにより善水寺の僧侶たちは全員排除されてしまい、その後、約100年間は僧侶不在の無住のお寺であったという。その間も、麓に暮らす地域の方々により守り伝えられ、今日まで歴史が紡がれてきた。
明治33年から明治35年春には全解体修理、太平洋戦争中及び戦後である昭和19年から昭和21年にかけて屋根の葺き替え修理、昭和48年から昭和50年にかけて屋根の葺き替え修理が行われてきた。
2026年、約50年ぶりに行われた檜皮葺屋根の葺き替え修理が完了した。その際、本堂を構成する柱の1つの腐朽が進んでいることが判明し、根継ぎの技術を用いて修理が行われた。
感想■本堂は境内に堂々とした存在感を持って立っていました。660年もの間、堂内の祈りの空間を守り続けてくれたお堂に感謝の気持ちも湧き上がってきました。
檜皮葺の屋根は隣にある庭園と調和していて美しかったです。
葺き替えて間もない檜皮葺の屋根が、綺麗に整っていて、とても美しかったです。維持管理がとても大変な檜皮葺ですが、大きな屋根が檜皮葺で作られていることはとても感動しました。