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人々を見守る「証拠の阿弥陀」

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しょうりんいん

勝林院

京都府京都市左京区

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様々な宗派の僧侶が集った一大宗教空間・大原。その中心寺院として栄えた勝林院を訪れると、巨大な阿弥陀如来像が人々を迎えます。数多の天災や戦をくぐり抜け、人々を見守り続ける阿弥陀如来はいつしか「証拠の阿弥陀」という名前で呼ばれるようになりました。

巡りポイント

勝林院は法然上人が様々な宗派の僧侶と議論した「大原問答」の地として有名な寺院です。現在にも「証拠の阿弥陀」が参拝する人々をみつめています。多くの観光客でにぎわう勝林院は、仏教としての教えを伝える場であるとともにつながりというものを感じることのでき、多くの人々の想いや気持ちを伝える場となって様々な人を救ってきたように感じられる寺院でした。圧倒的な迫力のある「証拠の阿弥陀」とその脇をかためる勝林院にゆかりのあるお像を巡り、およそ1000年にもなる勝林院の歴史をひもといていきましょう。

本堂(京都市指定有形文化財)

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繊細な彫刻が残る江戸時代建築

火災や水害のたびに再建され、現在の本堂は安永七年(1778)に再建されたものである。幅七間・奥行六間の総欅造りで、屋根は杮葺きの大きな建築である。欄間や蟇股等に立体的な彫刻が彫り込まれ、当時野技術力の高さが伺える。
感想■欄間や蟇股等に施されている彫刻には豪華な彩色が施されているのではないのですが、細かく繊細な造りでその技術力の高さに圧倒されました。それぞれに意味が込められているとの話をお聞きし、ただ技術力が高いだけでなく、作者の想いが詰まっているため圧倒されるようなものができているのだと思いました。

御本尊・阿弥陀如来坐像

  • 御本尊・阿弥陀如来坐像
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  • 御本尊・阿弥陀如来坐像
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証拠の阿弥陀

御本尊は丈六の阿弥陀如来坐像である。文治二年(1168)、多くの宗派の高僧が集まり念仏の教えについて問答を交わした。浄土宗の開祖である法然が念仏を唱えれば極楽浄土へ往生できると経典を引用しながら説くと、ご本尊が光を放ち法然の正しさを証明したため証拠の阿弥陀と称される。
感想■数多の戦乱や天災の影響を受け、現在の本尊の首元にある溝から上のご尊顔は室町時代に、溝より下の体は江戸時代に造立されたと考えられているそうです。しっかりと見極める眼力は今にも受け継がれているように感じました。

本堂におまつりされている御仏たち

  • 本堂におまつりされている御仏たち
    毘沙門天立像
  • 本堂におまつりされている御仏たち
    不動明王立像
  • 本堂におまつりされている御仏たち
    阿弥陀如来立像
  • 本堂におまつりされている御仏たち
    白衣観音立像
  • 本堂におまつりされている御仏たち
    普賢菩薩騎象像
  • 本堂におまつりされている御仏たち
    普賢菩薩騎象像
  • 本堂におまつりされている御仏たち
    十一面観音立像
  • 本堂におまつりされている御仏たち
    法然上人坐像
  • 本堂におまつりされている御仏たち
    祟源院(お江の方)御位牌
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勝林院の悠久の歴史を伝える美しい御仏たち

御本尊に向かって左側には毘沙門天立像が、向かって右側には不動明王立像が安置される。また、十一面観音立像や白象の上に乗る普賢菩薩坐像、白衣観音立像、御本尊との逸話が残る法然上人のお像がおまつりされている。また、以前の本堂(享保21年(1736)に焼失)が、祟源院(お江の方)の菩提を弔うために春日局により建立されたことから、祟源院の御位牌がまつられている。

感想■それぞれのお像の前に進み相対すると、勝林院が紡いできた悠久の歴史を感じることができました。おまつりされている仏様や御位牌それぞれに、勝林院との逸話が伝えられ、次世代へ大切に守り伝えた先人たちの姿を感じました。

梵鐘(国指定重要文化財)

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ご住職の想いゆえに今に残る平安梵鐘

平安時代前期に造られた梵鐘である。薄っすらと白い文字が残されている。これは太平洋戦争時の金属供出となってしまった際に、ご住職が勝林院のものであると明記したものである。これのおかげで兵器等にならず無事に帰ってきたという。
感想■白い文字が残されていたために、金属供出から勝林院へ戻ってきたことを聞き、驚きました。平安時代の素晴らしい梵鐘であるとともに、ご住職の平和への祈りや信仰について考えさせられる梵鐘でした。

石造宝篋印塔(国指定重要文化財)

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鎌倉時代を代表する石塔

本堂に向かって右側に建てられている。石塔の基礎部分に正和五年(1316)の銘文が残されている。塔身(塔の中央部分)には胎蔵四仏と呼ばれる宝幢如来(ほうとうにょらい)、開敷華王如来(かいふけおうにょらい)、無量寿如来(むりょうじゅにょらい)、天鼓雷音如来(てんくらいおんにょらい)を表す種字が刻まれている。

感想■近づいて石塔を細かくみると、曲線の滑らかさと直線の実直さが調和し、質実剛健さの中にも華やかさがあるように感じました。ほとんどすべてが鎌倉時代に造立された当初のものであるそうで、風雪に耐えながら数百年間伝えられてきたことに感動しました。

report

学生レポート

奈良大学文学部文化財学科3年

勝林院は寂源さんが争いを避け、大原の地を信仰の場としたこと、またそれには義兄である藤原道長などのつながりがあったからこそ発展することができたことをお伺いしました。藤原道長とも関係のあるお寺であることに驚きました。それが西の坂本といわれる大原の地の信仰の礎となったのだと思うとともに、人々との思いや気持ちを伝える場となり様々な人の救いとなっているのだと感じました。

history

ご由緒

長和2年(1013)に寂源により創建された。90年後に創建される来迎院とともに声明研鑽の道場として大いに栄えた。境内には、平安時代後期に造られた梵鐘や鎌倉時代頃の宝篋印塔が残り、当時の遺風を感じさせる。伽藍の中心に建つ本堂は、安永7(1778)年に再建された総欅造の建築である。数多くの彫刻が飾られ、江戸時代中期頃の気風を今に伝えている。

info

参拝情報

名称
魚山勝林院
(ぎょざんしょうりんいん)
所在地
京都府京都市左京区大原勝林院町187
googleMAP
参拝時間
9:00~17:00
(参拝受付は16:30まで)
参拝料金
大人:300円
中学生以下:200円
宗派
天台宗
御本尊
阿弥陀如来
宝物殿等
なし
アクセス
公共交通機関■JR京都駅・京阪三条駅・地下鉄国際会館駅から 京都バス「大原行」で終点「大原」バス停より 徒歩10分
駐車場
なし
Webサイト
https://www.shourinin.com/
SNS
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備考
紹介映像「京都大原のお寺を巡る(三千院:最初~、来迎院8分~、勝林院14分20秒~)」
https://www.youtube.com/watch?v=gM5ceTFJyhE

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