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丹波の春を告げる『鬼こそ』のお寺

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じょうしょうじ

常勝寺

兵庫県丹波市

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丹波市に伽藍を構える常勝寺は、大化年間(645-650)に創建された名刹です。麓から本堂までまっすぐに伸びる365段の石段の左右には、桜や紅葉、銀杏が枝を広げ四季折々の美しい景色を楽しむことが出来る名所として知られています。花々の枝のもとにはかつての僧房の痕跡が残り、中世には70もの僧房が軒を連ねたという常勝寺の悠久の歴史を感じさせます。また、丹波の春の訪れを告げる風物詩である『鬼こそ』のお寺として毎年2月11日にはたくさんの参拝者が集います。
  • 本堂

巡りポイント

本堂までまっすぐに伸びる石段の左右には、春には桜、秋には紅葉や銀杏の美しい景観が広がります。また、毎年2月11日に行われる『鬼こそ』は丹波の春の風物詩として人々に親しまれています。

仁王門・普門橋

  • 仁王門・普門橋
    仁王門
  • 仁王門・普門橋
    仁王門
  • 仁王門・普門橋
    阿形像
  • 仁王門・普門橋
    吽形像
  • 仁王門・普門橋
    ハチの巣に覆われた吽形像
  • 仁王門・普門橋
    普門橋
  • 仁王門・普門橋
    普門橋
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常勝寺を守る仁王様・かつて架かっていた『廊下橋』

常勝寺の入口には、仁王門と普門橋と名付けられた橋が建立されている。

 

仁王門は、もともと江戸時代に建立された建物とされるが、昭和40年(1965)に当地を襲った台風により下部が破損してしまった。そのため、下部を鉄筋コンクリートで再建し、その上に台風による被害を受けなかった従来の木造の上層部分をのせているという。

 

両脇には江戸時代に造立された仁王像が睨みをきかせている。向かって右側には口をあける阿形像、左側には口をとじる吽形像をおまつりしている。2020年8月下旬、目の部分からキイロスズメバチが吽形の胎内に入り巣をつくってしまったという。蜂が巣を離れた時期に巣を取り外し、あわせて修復をしたところ、胎内から元禄8年(1695)と読める墨書が複数見つかったという。

 

仁王門の手前に流れる山田川には普門橋が架かる。かつては、屋根付きの木造の橋が架けられており、『廊下橋』として地域の方々に親しまれていたという。しかしながら、昭和40年(1965)に当地を襲った台風によって川に流されてしまったという。その翌年の昭和41年(1966)に現在の普門橋が架けられた。

感想■仁王門にまつられている大きな仁王像が印象的でした。近くで見ることのできる仁王様は迫力があり、その力強い眼差しに圧倒されました。

参道

  • 参道
  • 参道
  • 参道
    参道整備記念碑
  • 参道
    岩窟の中にまつられる四国八十八カ所巡礼
  • 参道
    岩窟の中にまつられる四国八十八カ所巡礼
  • 参道
    西国三十三カ所
  • 参道
    西国三十三カ所
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本堂までまっすぐに伸びる365段の石段

現在の参道は、昭和3年(1928)、当地で開催された昭和天皇御即位に関係する行事を記念して整備されたという。このときの整備では、参道の両脇にある石段との境の部分と溝の部分をモルタルやコンクリートで造立し、境の部分には曲線を施し、そして境の部分と溝の部分の表面には『洗い出し仕上げ』という表面を磨いて模様を表す技巧が施されて丁寧に仕上げられている。

 

参道整備を記念する記念碑には当時の経緯が記され、参道整備に現在の貨幣価値で約1000万円ほどかかったという。参道整備の資金は、常勝寺の山林事業から捻出したと記されている。

 

参道の左右には山林事業によって整備された樹木が植えられている。仁王門から庫裏までは主に桜が、庫裏から本堂まではモミジが植えられ、四季折々の美しい景色が広がる。

 

参道沿いには、四国八十八カ所の石仏や西国三十三カ所の観音様の石仏がおまつりされている。

感想■一直線に伸びる石段の先に見える本堂の厳かな雰囲気も非常に記憶に残っています。また、四国八十八所を模してまつられている石仏も印象的で、四国から遠く離れた丹波にも同じ信仰の形が息づいていることに感動し、祈りの心が時と地域を越えて受け継がれていることを実感しました。

旧位牌堂

  • 旧位牌堂
    旧位牌堂
  • 旧位牌堂
    龍の彫刻 中井権次作
  • 旧位牌堂
    龍の彫刻 中井権次作
  • 旧位牌堂
  • 旧位牌堂
    伝教大師最澄像
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中井権次による龍の彫刻がにらみを利かせる小堂

御朱印などをお分けしている庫裏の山手側に旧位牌堂がひっそりと建つ。もともとは、現在の客殿(宝樹閣)の場所に建っていたが、客殿(宝樹閣)建立のために現在地に移築されたという。

 

旧位牌堂の正面には、中井権次が手掛けたという龍の彫刻が睨みをきかせている。さらに、お堂の近くには石造の伝教大師坐像がまつられている。

感想■名工として名高い中井権次が手掛けた龍の彫刻に息をのみました。生き生きと体をひねる龍の姿は、飛び出してきそうな生命力を感じさせました。

本堂と秘仏御本尊・銅造千手観音菩薩立像(国指定重要文化財)※33年に一度の御開帳

  • 本堂と秘仏御本尊・銅造千手観音菩薩立像(国指定重要文化財)※33年に一度の御開帳
  • 本堂と秘仏御本尊・銅造千手観音菩薩立像(国指定重要文化財)※33年に一度の御開帳
  • 本堂と秘仏御本尊・銅造千手観音菩薩立像(国指定重要文化財)※33年に一度の御開帳
    中井権次による本堂彫刻
  • 本堂と秘仏御本尊・銅造千手観音菩薩立像(国指定重要文化財)※33年に一度の御開帳
    中井権次による本堂彫刻
  • 本堂と秘仏御本尊・銅造千手観音菩薩立像(国指定重要文化財)※33年に一度の御開帳
    中井権次による本堂彫刻
  • 本堂と秘仏御本尊・銅造千手観音菩薩立像(国指定重要文化財)※33年に一度の御開帳
    秘仏御本尊・銅造千手観音菩薩立像
  • 本堂と秘仏御本尊・銅造千手観音菩薩立像(国指定重要文化財)※33年に一度の御開帳
    お前立・木造千手観音菩薩立像
  • 本堂と秘仏御本尊・銅造千手観音菩薩立像(国指定重要文化財)※33年に一度の御開帳
    本堂内に掲げられている絵馬
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中井権次の秀麗な彫刻に彩られる紅のお堂

石段の先に建つ本堂は、元禄10年(1697)、良海法印によって復興された建物で、明治期に第十六世の實應(じつおう)法印によって改築された建物。本堂内部は外陣と内陣で構成され、比叡山延暦寺の根本中堂と同様に、内陣が土間で、外陣から拝む参拝者の目線と御本尊様の目線が合う『天台様式』の建物である。堂内の外陣の梁には、江戸時代から今日までに奉納された絵馬が多数飾られている。

 

中央の厨子の内部には、秘仏御本尊・銅造千手観音菩薩立像がまつられている。寄木造の仏像と同様に、腕と身体とを別々に鋳造して組み合わせるという技法で造立されており、常勝寺を創建した法道仙人の護念持仏を頸に鋳込んで造立したと伝えられている。藤原時代末~鎌倉時代初期に造立された仏様であると考えられている。御開扉は33年に一度とされ、前回の御開帳は平成25年(2013)に行われた。

 

厨子の前には、お前立の木造千手観音菩薩立像がまつられている。このお前立像は、前回の御開扉の際に御本尊様がまつられている厨子の内部から破損した状態で発見され、後に修復されてお前立像としてまつられている。

感想■本堂正面の花々の彫刻が美しく、見惚れてしまいました。丹波で活躍した中井権次による彫刻とのことでした。また、御本尊様が中世に遡る珍しい銅造の千手観音様とお聞きし、次の御開扉の際にぜひそのお姿をお参りしたいと思うとともに、前回の御開扉の際に発見されたお前立像の凛々しいお姿も印象的でした。

【非公開】秘仏・木造薬師如来坐像(国指定重要文化財)

  • 【非公開】秘仏・木造薬師如来坐像(国指定重要文化財)
  • 【非公開】秘仏・木造薬師如来坐像(国指定重要文化財)
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凛々しく力強いお姿が特徴的なお薬師様

秘仏・木造薬師如来坐像は奥の院に安置されていたと伝わる。像高は77.0㎝で寄木造り、玉眼を嵌入する。

 

衣文表現は等間隔に刻まれ穏やかに表現されているが、面部の表現は凛々しく精悍な顔立ちであることから鎌倉時代前期の造像であるとみられる。薬師如来坐像の多くは左手の上に薬壺を載せ右手は施無畏印をあらわす像が多いのに対し、常勝寺薬師如来坐像は両手を腹前で定印を結びその上に薬壺をのせる。

 

2019年に親指に欠けがみられたことから美術院で修理が行われ、2023年に修理が完了した。

感想■特別に薬師如来像を御開扉していただき、その端正かつ穏やかなお姿が私たちの前に現れると、その美しさに圧倒されました。わずかな灯に照らされ暗闇の中に輝く金色のお身体は威厳に満たされ、言葉を失うほど感動しました。

鬼こそ(丹波市指定文化財)

  • 鬼こそ(丹波市指定文化財)
    実際に使用されている3代目のお面
  • 鬼こそ(丹波市指定文化財)
    実際に使用されている3代目のお面
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丹波の春を告げる風物詩

毎年2月11日に行われる『鬼こそ』は、正式には追儺式といい、新年の無病息災を願う節分の起源ともされる行事。常勝寺で行われる『鬼こそ』は、常勝寺にたびたび出現した化け物を退治するために法道仙人が創始したと伝えられている。

 

現在の『鬼こそ』では、僧侶による大般若転読法要の後に鬼たちが登場する。法道仙人役1人と赤鬼役2人、青鬼役2人が登場し、それぞれの鬼が火や水、風、病を象徴しており、これらがただ害をなす災いというだけでなく、災いの中にも転じて幸せを見つけるヒントがあるということを表しているという。

 

それぞれの鬼は、法道仙人役に先導され、『餅切り』や『火供え』、『火合わせ』などの所作を本堂内で行った後、本堂の縁に出て、最後に火のついた松明を参拝者に向けて投げる。その松明を家に持ち帰ると、その1年厄災に見舞われず、無病息災で過ごすことができるという。

 

現在使用されている面は3代目で、最も古い面(初代)2つと2代目の5つの面は丹波市の民俗文化財に指定されている。

感想■目玉がギョロっと飛び出た鬼の面が印象的でした。それぞれの鬼は災いをもたらす悪い鬼ではなく、人々の味方の善い鬼たちであり、それぞれが象徴する災いも転じれば幸福をもたらすということを象徴しているとお聞きしました。鬼こその当日には、例年多くの方々がお参りに来られるそうで、いつか鬼こそ当日に常勝寺を訪れたいと思いました。

report

学生レポート

立命館大学 博士課程

常勝寺の麓から本堂までまっすぐに伸びる石段を登っていくと、たどり着く仁王門。ご住職によると、仁王門におまつりされる仁王様は、かつて内部から外側にかけてハチの巣ができてしまったそう。仏師の方にハチの巣を丁寧に取り除いていただき、往時の勇ましい姿が蘇ったそうです。この仁王様のエピソードをお聞きし仁王様のお姿を見てみると、ただ勇ましく睨みをきかせているだけでなく、どんなことでも受け止めてくれそうな包容力を感じるお姿をされているように思いました。もしかしたら、ハチのために、仁王様が『自分の身体を使っていいよ』とお身体をお貸ししたのかなと想像の翼を広げました。

また、本堂の内部でお話しいただいた『鬼こそ』に登場するそれぞれの鬼には、火や水、風、病を象徴しており、これらがただ害をなす災いというだけでなく、災いの中にも幸せを見つけるヒントがあるということを表しているとお聞きしました。目がギョロっと飛び出し、どこかユーモラスな表情の鬼の面を見ていると、『鬼こそ』という行事に対する皆さんの想いが感じられ、いつか『鬼こそ』に参列してみたいと思いました。

history

ご由緒

大化年間、天竺より日本へ飛来した法道仙人によって創建されたと伝えられている。中世には大いに隆盛し、山上に七堂伽藍が築かれ、70あまりの僧房が軒を連ねていたという。しかしながら、永保年間の火災や天正年間の丹波攻めにより全山焼失してしまったという。元禄10年(1697)、良海法印が現在の本堂を復興した。明治時代、第十六世の実應法印が優れた山林経営を行い、境内の諸堂修復に尽力したという。毎年2月11日に実施され、丹波の風物詩とされる『鬼こそ』のお寺として著名である。

info

参拝情報

名称
竹林山常勝寺
(ちくりんざんじょうしょうじ)
所在地
兵庫県丹波市山南町谷川2630
googleMAP
参拝時間
9:30~16:00
拝観料
無料
宗派
天台宗
御本尊
千手観音
宝物殿
アクセス
■公共交通機関
電車
・JR福知山線『谷川駅』から約1km
※谷川駅前にタクシー有り
 播丹交通株式会社(タクシー)
 TEL 0795-77-0175
 住所 兵庫県丹波市山南町池谷117

■車
・中国自動車道『滝野社IC』から約30分
・舞鶴若狭自動車道『丹南篠山口IC』から約25分
・舞鶴若狭自動車道『春日IC』から約30分
駐車場
あり
Webサイト
http://www.chikurinzan.info/
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