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安産の祈りを1000年以上受け止める巨大なお地蔵様をおまつりする

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ぜんがんじ

善願寺

京都府京都市伏見区

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多くの古刹が伽藍を構える醍醐の地に、1000年以上にわたり安産祈願の霊地として信仰を集める善願寺が伽藍を構えています。京都でも屈指の大きさとして知られるご本尊・地蔵菩薩さまは「腹帯地蔵」として人々に親しまれています。また、西村公朝師により境内の榧の霊木に彫られた「榧の木不動尊像」は、霊木の成長とともに人々を見守っています。

巡りポイント

平安時代に造立されたご本尊・地蔵菩薩さまには、安産を願う人々との様々な逸話が伝えられています。また、西村公朝師が一日で彫り上げたという榧の木不動さまのお姿は、大木からまさにお不動さまが姿を現した瞬間に遭遇したように感じさせます。

現在、拝観を停止しております。ご理解・ご協力をお願い致します。

ご本尊・木造地蔵菩薩坐像(国指定重要文化財)

  • ご本尊・木造地蔵菩薩坐像(国指定重要文化財)
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  • ご本尊・木造地蔵菩薩坐像(国指定重要文化財)
  • ご本尊・木造地蔵菩薩坐像(国指定重要文化財)
    授与される岩田帯
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平安時代に造立された巨大な腹帯地蔵さま

善願寺のご本尊・地蔵菩薩坐像は、平安時代の終わりごろに造立された仏様。像高は268.2 cm、桧材の寄木造で造立された仏様で、左手に宝珠を持ち、右手を右膝の上に大きく広げる。江戸時代に京都の寺院や神社の由来や縁起をまとめた『山州名跡誌』には、この地蔵菩薩坐像が平重衡公の出生の際に安産を祈願して造立されたと伝えられていると記載がある。腹部には腰紐を結ぶ下衣がのぞき、その姿が腹帯を身にまとっているように見えるため「腹帯地蔵」と親しまれている。このことから、善願寺では安産祈願に訪れる参拝者の方に安産の岩田帯を授与しており、三代にわたって御祈願に訪れる参拝者もいるという。

感想■お地蔵様の大きさに圧倒されました。お聞きすると、像高が約2.7メートルもあり、京都市内でも屈指の丈六のお地蔵様であるとのことでした。これだけ大きな巨像が1000年以上も伝えられていることに感銘を受けるとともに、このお地蔵様が伝えられてきた歴史には、いつの時代も安産を願う先人たちの姿があることを強く感じました。

榧の木不動尊

  • 榧の木不動尊
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  • 榧の木不動尊
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樹齢1000年の霊木とともに生き続けるお不動様

善願寺の境内には、樹齢1000年にもなるという榧の木が育っている。この榧の木は、小野小町がまいた九十九個の榧の実の1つが育ったものと伝えられ、「小町榧(こまちがや)」として親しまれている。

この霊木に不動明王が彫られたのは、1955年頃のこと。当時の住職が境内に立つ榧の木の前に不動明王が姿をあらわすという夢をみたという。そこで、ご本尊・地蔵菩薩様の修理のために訪問していた西村公朝師にこの夢を告げ、この霊木の表皮に不動明王像を彫ってほしいと依頼をしたそう。 樹齢1000年の霊木の生育に影響を及ぼすことのないように植物学者と綿密な相談をした西村公朝師は、「南無不動明王」と大きな掛け声とともに気合を入れ木にノミを入れたと伝えられている。木から跳ね返る樹液を浴びながら一心不乱に不動明王像を彫り、なんと1日で不動明王のお姿を彫りあげたという。

感想■実際に不動明王像の前に立つと、まさに今大木の内からその姿を表した瞬間に遭遇した感覚を覚え、どんと構える不動明王が目の前に存在しているかのような迫力を感じました。造立されてから約70年、徐々に木の表皮がお不動様を吞み込んでいるとお聞きしました。霊木とともに生き続けるお不動様の姿に圧倒されました。

本堂

  • 本堂
  • 本堂
    外陣天井画「花卉図」のうち「トロロアオイ」 松村景文筆
  • 本堂
    外陣天井画「花卉図」のうち「ハマユウ」
  • 本堂
    外陣天井画「花卉図」のうち「モクレン」
  • 本堂
    内陣天井画「飛天図」 岸良筆
  • 本堂
    内陣天井画「飛天図」 岸良筆
  • 本堂
    内陣天井画「飛天図」 岸良筆
  • 本堂
    内陣天井画「雲龍図」 岸良筆
  • 本堂
    内陣天井画「雲龍図」 岸良筆
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江戸時代の絵師たちが手掛けた祈りの空間が広がる

現在の本堂は、弘化3年(1846)に再建された建物。外陣の天井には計120面からなる「花卉図」が描かれている。描いたのは、岸良(1798 - 1850)をはじめとする岸派の中心とした28名の絵師たち。中央の「トロロアオイ」は、四条派の絵師である松村景文が描いたことが判明しており、岸派と四条派の繋がりを感じさせる作品として知られている。また、内陣に描かれた「雲竜図」と「飛天図」はともに岸良により手掛けられた。

近年まで、中央にご本尊・地蔵菩薩様をおまつりしていたが、国の重要文化財に指定された際に収蔵庫に移されたため、本堂内からご本尊様を拝むことができるように改築されている。

感想■花々の絵はのびやかに生き生きと描かれ、飛天や龍の姿の下に立つと、それぞれが空から舞うように地上へ降りてきた瞬間に遭遇したかのような臨場感がありました。過去に生きた人々が地蔵菩薩に対する信仰をもとにこのような美しい空間が生み出されたことを強く感じ、先人たちの信仰の歴史が自分たちにつながり、これからも紡がれていくことを実感しました。

本堂におまつりされる仏様たち

  • 本堂におまつりされる仏様たち
    阿弥陀如来立像
  • 本堂におまつりされる仏様たち
    阿弥陀如来立像
  • 本堂におまつりされる仏様たち
    阿弥陀如来立像
  • 本堂におまつりされる仏様たち
    阿弥陀三尊立像
  • 本堂におまつりされる仏様たち
    慈恵大師良源坐像
  • 本堂におまつりされる仏様たち
    水子地蔵菩薩立像
  • 本堂におまつりされる仏様たち
    ふれ愛観音像 西村公朝作
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善願寺の歴史を伝える様々な仏様

もともとご本尊様がおまつりされていた須弥壇には、現在、阿弥陀三尊立像を中心に様々な仏様がおまつりされている。中央におまつりされている阿弥陀三尊立像は、中心の阿弥陀如来立像、向かって右脇の観音菩薩立像、左脇の勢至菩薩立像から構成されている。他には、水子の霊を供養する水子地蔵様、比叡山中興の祖とされる慈恵大師良源坐像、千手観音様などがおまつりされている。また、堂内には、西村公朝師が「目の不自由な人でも心の目と手で触れることができる観音様」として造立した「ふれ愛観音像」がおまつりされている。

感想■中央に立つ阿弥陀如来様の美しい眼差しに見惚れました。すらりと立つ立ち姿や指先や頭部の先まで繊細に彫刻されている部分から仏師の力量と熱意が感じられ、美しさとともに迫力も感じました。

吒枳尼天堂

  • 吒枳尼天堂
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天女の姿をした密教の善神をまつる

朱色の柵に囲まれて建つ建物は、吒枳尼天(だきにてん)をまつる吒枳尼天堂。左手に宝珠、右手に宝剣を持ち玄狐という狐にまたがる天女の姿で表される吒枳尼天は、神通力の強い密教の善神として信仰を集めたという。日本へ伝来した後、稲荷信仰と結びついた。

感想■吒枳尼天様は狐にまたがる天女の姿をされているとお聞きしました。安産の霊地として信仰を集めるという歴史を持つ善願寺に美しい女性の神様をおまつりしていることに秘められた繋がりがあるのかなと想像の翼を広げました。

report

学生レポート

立命館大学博士課程

今回の参拝では、地蔵菩薩さまの大きさに圧倒させられるだけでなく、樹齢千年の榧の木に彫られている不動明王像の姿が心に深く刻まれました。
善願寺さまに大きな地蔵菩薩さまがおまつりされているとお聞きしていましたが、これほどまで大きなお地蔵さまであるとは想像しておらず、地蔵菩薩さまの前に進みその姿を拝したとき、その大きさ故の迫力に言葉を失いました。しかしながら、しばらくお参りしていると迫力だけでなく、どこか優しく寄り添っていただけるような心地を感じました。お地蔵さまから感じたこのような心地は、腹帯地蔵として何世代にもわたり信仰を集めるお地蔵さまであるからこそなのだと強く感じました。
また、榧の木不動尊像のそのお姿を実際に拝すると、力強く畏怖を感じる姿で、実際に目の前に姿をあらわしているかのような感覚を覚えるとともに、厳しい中に優しいさを感じさせるような気持ちを抱きました。この榧の木不動尊像が彫られる由来や西村公朝師のお話をご案内いただき、この榧の木不動尊像の前でしばらく時を過ごしていたいと思えるほど心が揺さぶられました。
さらに、本堂の天井に描かれている岸派の画家たちによる草花や飛天、雲龍図は圧巻で、岸派や四条派の松村景文がどのような思いでこの美しい天井絵を描いたのか惹かれました。

history

ご由緒

寺伝によると、仏の力をもって難産の苦しみから女性を救いたいと願った行基菩薩により創建されたという。その際、1000日間をかけて1000部の『地蔵菩薩本願経』を写経し、その写経を造立した地蔵菩薩像の胎内に納めおまつりしたという。その後、荒廃していた姿に胸を痛めた恵心僧都源信により再興されたと伝えられている。本尊は像高2メートルを超える地蔵菩薩坐像。平重衡公の出生の際に安産を祈願したと伝えられているとともに、地蔵菩薩が身に着ける下裳(したも)の結び目が腹帯に見えることから「腹帯地蔵」として多くの信仰を集めている。また、境内には樹齢約1000年とされる榧の木が枝を広げており、幹には西村公朝師により不動明王像が刻まれている。この不動明王像は、ある夜、榧の木の前に不動明王が出現する夢を住職がみたことから彫られた不動明王である。

info

参拝情報

名称
誓弘山善願寺
(せいぐざんぜんがんじ)
所在地
京都府京都市伏見区醍醐南里町33番地
googleMAP
参拝時間
現在拝観を停止しています。
拝観料
-
宗派
天台宗
御本尊
地蔵菩薩(腹帯地蔵)
宝物殿
なし
アクセス
■公共交通機関
①地下鉄「醍醐駅」下車後、徒歩約20分
②京阪バス「醍醐和泉町」下車後、南へ徒歩約3分
駐車場
あり(普通車10台)

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