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数百年以上境内の景観を守り続ける兵庫屈指の古刹

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にょいじ

如意寺

兵庫県神戸市西区

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神戸市の山間部に数百年以上昔から伽藍の光景を変えずに伝える古刹・如意寺が伽藍を構えています。境内には平安時代から鎌倉時代初期に建立された阿弥陀堂、中世に建立された三重塔、文殊堂など多様な建物が伝えられ、平安時代から中世に完成されたお寺の景観を今に伝えています。

巡りポイント

如意寺の見どころは、数百年以上昔から伝える建物が複数伝えられていることだけでなく、往時の境内の様子が改変されることなく伝えられていることにあります。まるで中世に描かれた絵図の中に飛び込んだかのような境内には落ち着いた時間がながれています。

阿弥陀堂(国指定重要文化財)

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平安時代の美意識を感じさせるお堂

境内の西方に建つ阿弥陀堂は常行堂とも呼ばれ、阿弥陀如来をおまつりする建物である。平安時代から鎌倉時代初頭に建立された建物であると考えられている。堂内は板敷で、折上小組格天井が建物内を彩る。応永13年(1406)、寛文12年(1672)に大幅な改修が施されたが、近年修復され建立当初の姿によみがえった。建物の部材には建立当初の部材が残されており、現在も現役で建物を支えている

感想■堂内に入った瞬間、その繊細な建築美に息をのみました。折上小組格天井の折上部分の曲線は滑らかで、穏やかで雅な印象を受けました。堂内に入ると建立された当初にタイムスリップしたような感覚を覚え、いつまでも堂内で過ごしていたいと思いました。

阿弥陀如来坐像(神戸市指定文化財)と阿弥陀堂におまつりされる仏さま

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建物とともに歴史を歩む阿弥陀さま

阿弥陀堂の中央におまつりされる阿弥陀如来坐像は、建物の建立と同じ時期に造立されたお像であると考えられている。お像の大部分は当初の部分が残っている。近年修復が行われ、台座の裳懸座(もかけざ)や光背はその時に補われた。おまつりされるお像とおまつりする建物がともに伝えられている貴重な空間であるという。阿弥陀如来坐像の左には近世に造立された地蔵菩薩立像と聖徳太子立像がおまつりされている。また、鎌倉時代に造立され、近年修復された狛犬・獅子像もおまつりされている。

感想■薄暗い堂内で、日の光を受けて光り輝く阿弥陀さまのお姿は美しく、まさに言葉を失うほど感動しました。この建物に安置されてから数百年以上受け継がれており、阿弥陀さまを中心に広がる堂内の空間が数百年単位で伝えられていることに感動しました。また、狛犬と獅子の像は非常に愛くるしかったです。

三重塔(国指定重要文化財)

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南北朝時代に建てられた優美な塔

境内東方に建つ三重塔は至徳2年(1385)に建立された建物である。軒の出が深い純和様の建物で、塔上部の相輪の一部である龍車に銘文が刻まれている。各階層には大日如来、釈迦如来、多宝如来がそれぞれおまつりされているという。

感想■高台に建つ三重塔の姿は美しく圧巻でした。屋根の曲線は滑らかで美しさを感じさせるとともに、迫力を同時に感じさせました。木々の緑の色と青空の中にそびえ立つ三重塔は、この場所が信仰の中心として霊山であることを感じさせる光景でした。

文殊堂(国指定重要文化財)

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室町時代に建立された懸造りの建物

境内の南方に建つ文殊堂は、応永13年(1406)以降に建てられたと考えられている建物である。文殊堂を構成する部材に記されている墨書により1453年に建立されたと指摘する声もある。内部には東方に厨子を配置し、中央の厨子前に聖僧文殊菩薩像をおまつりする。このことから文殊堂とされているが。もともとどのような用途に使用された建物であったかは謎の部分が多く、詳細は明らかではない。

感想■文殊堂の高床の部分が印象深く残っています。清水寺のように懸造で建てられている部分をみると、決して太いとは言えない柱を上手に配置することで重量を分散させていることを実感でき、当時の技術力の高さに圧倒されました。また、柱の茶色と壁面の白色の色の対比も美しかったです。

仁王門と仁王像(兵庫県指定文化財)

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鎌倉時代に造立された日本唯一の塑像の仁王さま

如意寺の境内から少し離れた場所に如意寺の仁王門は建つ。仁王門には鎌倉時代に造立されたと考えられている仁王像がおまつりされている。この仁王像は塑像であり、鎌倉時代に造立された唯一の塑像の仁王像として著名である。また、仁王像をおまつりする仁王門は様々な時代の部材を組み合わせて建立されている。

感想■木造に比べて壊れやすい塑造の仁王像が鎌倉時代より伝えられていることに驚きました。実際にお像を拝すると、塑造であることに加えてかなり大きなお像であることに気が付き、これほどのお像が伝えられてきた如意寺の環境がすごいと思いました。また、仁王門は様々な部材が組み合わされて建てられており、手元にある部材を上手に使って建築を建てる大工の技術力に圧倒されました。

本堂跡

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文化財を維持するために解体された本堂

境内の北方にはかつて存在した本堂の痕跡が残されている。少し盛り上がった部分には本堂の柱を支えていた礎石が今も残されている。最後に建てられた本堂は江戸時代頃に建てられた建物であったという。その後、老朽化が激しかったことから第二次大戦後に解体され、境内の他の建築の修復のために本堂の部材を売ったという。

感想■境内に残る貴重な建物を維持するために戦後に本堂の部材を売って修復資金を確保したとお聞きしました。本堂跡をみていると、戦後の物資の乏しい中で境内の文化財を未来へ繋ごうとした先人たちの熱意や息遣いに触れたような心地がしました。

report

学生レポート

立命館大学生命科学研究科3年

今回の訪問では、現在に伝わる建物が建てられてから数百年もの間如意寺の境内の空間が伝えられていること、そして境内の空間を伝えることにご住職が非常に熱意を持って尽力されていることを強く感じました。今回特別に入らせていただいた阿弥陀堂の内部は緻密な格天井で荘厳され、数百年前に造立された阿弥陀さまが金色に輝いていました。この空間の美しさに圧倒されるとともに、平安時代に阿弥陀堂が建立されてから数百年単位でこの空間が受け継がれてきたことに驚愕いたしました。また、時代が移り変わる中境内の空間のすばらしさを理解し、次の世代へ受け継いできた各時代のご住職や如意寺の人々の熱意に圧倒されました。ほとんどのお寺は時代とともに境内の様子が変わるなか、数百年単位で境内の様子が守り伝えられていることが如意寺の魅力の一つなのだと実感しました。

history

ご由緒

『如意寺旧記』によると、大化元年(645)、法道仙人が多聞天の教化により櫨(はぜ)の木に地蔵菩薩と毘沙門天を刻み、安置したことにはじまるという。大化5年(649)には孝徳天皇の勅願寺となり、堂塔伽藍が整備され多くの僧侶が集った。仁寿元年(851)には慈覚大師が文殊堂を建立したが荒廃したため、正暦年間(990 - 995)願西尼(安養尼)により中興されたと伝わる。中世には国役を免除され、現在に伝えられている文殊堂や三重塔など堂塔伽藍が整備された。天文8年(1539)に本堂等を火災で焼失してしまうが、当時の院主であった一条院泉範により浄財が集められ復興された。寛文7年(1667)には東叡山寛永寺の末寺となり、広大な寺領を有していた。明石西国霊場や神戸十三仏霊場の札所として知られている

info

参拝情報

名称
比金山如意寺
(ひきんざんにょいじ)
所在地
兵庫県神戸市西区櫨谷町谷口259
googleMAP
参拝時間
9:00~17:00
拝観料
入山料:無料
拝観料:300円(事前予約)
宗派
天台宗
御本尊
地蔵菩薩
宝物殿
アクセス
【公共交通機関】
 ・JR「明石駅」から神姫バスで「谷口バス停」下車、徒歩約15分。「明石駅」からタクシー約20分。
 ・神戸市営地下鉄西神・山手線「西神南駅」からタクシー約5分。
【自動車】
 ・第二神明道路「玉津IC」から県道52号小部明石線を北上、道識のある「谷口バス停」近く感知信号で右折、約3分。
  (寺の入口手前に駐車スペースあり)
駐車場
有り(無料)

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