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雄大な姿の国宝・本堂と巨大な阿弥陀さまが参拝者を迎える

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たいさんじ

太山寺

兵庫県神戸市西区

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かつて播磨国と摂津国の国境となっていた山の麓に創建1300年を超える兵庫屈指の古刹・太山寺が伽藍を構えています。境内には国宝の本堂をはじめ数々の文化財が伝えられ、往時には支院41坊、末寺8カ寺を数えた繁栄を今に伝えています。境内の主要な建物にそれぞれ、現在、過去、未来の仏さまをおまつりし多様な信仰が息づいています。

巡りポイント

鎌倉時代に再建された巨大な国宝・本堂の姿は圧巻です。また、人の背丈の何倍もの像高である阿弥陀如来坐像やそびえ立つ三重塔の美しさも必見です。

本堂(国宝)

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鎌倉時代に再建された兵庫屈指の名建築

境内中央に建つ本堂は、弘安8年(1285)に以前の本堂が焼失した後に建てられた建物である。桁行7間、梁間6間の巨大仏堂であり、内陣と外陣を格子で分ける。全体的に和様の建築手法により構成されているが、木鼻や西半分の肘木に禅宗様の特徴が見られる点が特徴である。内部の厨子には弘安元年(1278)の銘が記されている。昭和34年より解体修復が行われ昭和39年に完成した。

感想■境内の入口にある門をくぐると、目の前にそびえ立つ本堂に圧倒されました。入口よりも高いところに建っていることから、こちらにせまってくるかのような心地を抱きました。建物の内部に入ると、想像以上に天井が高く、外陣にはとても開放的な空間が広がっていました。しかしながら、特別に入らせていただいた内陣は暗くどこか閉鎖的な印象を受け、ご住職によるとこの違いが中世の密教建築の特徴であると教えていただきました。格子をはさんでここまで受ける印象が異なることに、おどろきました。

ご本尊・薬師如来像と脇を固める四天王像(神戸市指定文化財)と十二神将立像

  • ご本尊・薬師如来像と脇を固める四天王像(神戸市指定文化財)と十二神将立像
    四天王立像
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    四天王立像
  • ご本尊・薬師如来像と脇を固める四天王像(神戸市指定文化財)と十二神将立像
    内陣
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    お前立像
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    お前立像
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    四天王立像
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    四天王立像
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    四天王立像
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    四天王立像
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    十二神将立像
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秘仏のご本尊と脇を固める群像

本堂中央の厨子には太山寺のご本尊である薬師如来像がおまつりされている。太山寺に伝わるところによると、明石の浦で形部定国という翁が釣りをしていたところ、きれいな雲がたなびき音楽が流れ始めたという。そのとき、海中より薬師如来像が出現したという。その後、藤原鎌足の孫である藤原宇合が付近の温泉で療養中に霊夢を見て、この薬師如来像を本尊にお寺を創建したという。薬師如来像は秘仏とされている。薬師如来像の左右には四天王立像がおまつりされている。阪神淡路大震災の際に被害を受けたが、修復され神戸市指定文化財となっている。さらに、厨子の背後には十二神将立像がおまつりされている。かつては四天王立像と一緒にご本尊の厨子の両脇におまつりされていたという。なお、内陣の厨子の上には懸仏がかけられている。

感想■創建されてから1300年以上伝えられているご本尊の姿に興味がわきました。直接拝することはかないませんが、実際にどのようなお姿をされているかご住職とお話したことが印象に残っています。また、ご本尊の両脇を固める四天王立像は、筋骨隆々でお顔も勇ましく、かっこよい姿でした。人の背丈より少し大きい姿のお像で、その勇ましい姿にしばらく見惚れていました。一方、裏におまつりされている十二神将立像はユーモラスに富んだ表情をされていて親しみをもつお姿でした。

阿弥陀堂と阿弥陀如来坐像(国指定重要文化財)

  • 阿弥陀堂と阿弥陀如来坐像(国指定重要文化財)
  • 阿弥陀堂と阿弥陀如来坐像(国指定重要文化財)
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丈六の阿弥陀如来坐像をおまつりする未来の世界

本堂の左手には丈六の阿弥陀如来坐像をおまつりする阿弥陀堂が建てられている。建物は貞享5年(1688)の再建である。内部におまつりされる阿弥陀如来坐像は平安時代末期頃の流行を残す鎌倉時代の造立と考えられている。阿弥陀如来坐像の周囲には徳川将軍家の位牌がおまつりされている。5月には阿弥陀如来と二十五菩薩が来迎する様子をあらわした練供養が行われ、多くの参拝者を集める。阿弥陀堂前には太山寺門前に一時期住んでいた熊沢蕃山を顕彰する石碑がたてられている。

感想■堂内に入り、阿弥陀さまの大きさに驚きました。日の光をあびて光り輝くその姿は、実際に阿弥陀さまの姿を見ることができたらこのようなお姿なのだと感じさせました。ご住職によると、阿弥陀堂は何度か失われているそうで、現在の建物が建てられるまでこの大きな阿弥陀さまはどのように運び出され、どこに安置されていたのか謎だそうです。これほどまでの大きな仏さまが今に伝えられていることの凄さを感じました。

三重塔(兵庫県指定文化財)

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お釈迦さまの遺徳を今に示す三重塔

本堂の右手には、貞享5年(1688)に再建された三重塔が建つ。塔内には中央に大日如来坐像がおまつりされるほか、四隅に四天王立像がおまつりされている。内部は彩色されている。もともとお釈迦さまの遺徳を示すために塔は建てられるが、太山寺では牛馬安全の祈願をこめる人々が多いという。昭和39年に大幅な修復が行われた。屋根の四隅の組み物には部材を支える邪鬼が置かれている。

感想■屋根の四隅に置かれている邪鬼の姿が非常に可愛らしく印象に残っています。階ごとに異なる色に塗られており、それぞれの好みの邪鬼がどれか話したことがおもしろかったです。また、内部におまつりされる大日如来像は、暗闇のなかに浮かび上がる美しいお姿が印象的でした。

仁王門(国指定重要文化財)と参道

  • 仁王門(国指定重要文化財)と参道
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室町時代に建立された仁王門と神戸市電の敷石を使った参道

太山寺の入口に建つ仁王門は、室町時代中期に移築された建物であると考えられている。昭和28年に解体修理が行われ、もとは重層の楼門形式であったことが判明した。このことを踏まえてどのような構造であったのかを示す模型が門の裏側に設置されている。また仁王門から続く参道の敷石はかつて神戸市電で使用されていた敷石であるという。

感想■ご住職よりもとの仁王門は今よりも大きく重層の門であったとお聞きしました。今の門も大きい印象を受けますが、さらに大きく高い門が建っていたと考えると、往時の太山寺がどれほど発展していたかが伝わってきました。また、参道の敷石がかつての神戸市電の敷石であるとお聞きし、ふと視界にはいる何気ないものにも秘められた歴史があるのだと痛感させられました。

釈迦堂・羅漢堂

  • 釈迦堂・羅漢堂
    釈迦堂
  • 釈迦堂・羅漢堂
    釈迦堂
  • 釈迦堂・羅漢堂
    釈迦堂
  • 釈迦堂・羅漢堂
    釈迦堂
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    羅漢堂
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    羅漢堂
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    羅漢堂
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    羅漢堂
  • 釈迦堂・羅漢堂
    羅漢堂
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    羅漢堂
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釈迦三尊を中心に羅漢が囲む

本堂の右手後ろに釈迦堂と羅漢堂は建つ。釈迦堂の前に建つ羅漢堂の内部には四天王立像、十六羅漢像、釈迦の四大弟子像がおまつりされている。天井には草花が色鮮やかに描かれている。建立時代の詳細は不明ではあるが、天明年間に建てられたと伝わる。羅漢堂の背後の釈迦堂には釈迦三尊像がおまつりされ、もとは講堂と呼ばれており、享和年間に再建された建物であるという。

感想■羅漢堂におまつりされるそれぞれの羅漢さんの強烈なお顔が印象に残っています。どのお像も目力があり実際の高僧がそこに座っているかのような迫力がありました。また羅漢堂の天井も鮮やかで飽きることのない美しい天井絵でした。釈迦堂の釈迦三尊像は金色に輝く姿が美しかったです。

護摩堂・観音堂・奥の院

  • 護摩堂・観音堂・奥の院
    観音堂
  • 護摩堂・観音堂・奥の院
    三好長慶が奉納した石灯籠
  • 護摩堂・観音堂・奥の院
    護摩堂
  • 護摩堂・観音堂・奥の院
    奥の院
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多様な仏さまがおまつりされる諸堂

本堂の右手に建つ観音堂はもともと鎮守社の建物で、明治の神仏分離以降は等身大の聖徳太子立像と熊野権現、白山権現、蔵王権現の三権現の御神像がおまつりされている。現在の建物は元禄7年9月に建立された建物であるという。観音堂の前には三好長慶が太山寺に陣を構えた時に奉納した石灯籠が現存している。本堂の左手には護摩堂が建つ。護摩堂には不動明王と二童子、毘沙門天、大黒天がおまつりされ、年に一度護摩堂前にて採燈大護摩がとりおこなわれる。護摩堂も元禄年間に建てられたと伝えられている。三重塔より川沿いへつながる道を進むと、奇岩に囲まれた奥の院にたどりつく。奥の院には地蔵菩薩像がおまつりされる地蔵堂が建てられている。

感想■太山寺の境内を巡ると様々な仏さまがおまつりされていることだけでなく、灯籠や建物にそれぞれの歴史が秘められていることに気が付かされました。一つ一つの歴史を紐解いていくと非常におもしろく、時間を忘れて一日中太山寺の境内に滞在できると思います。

report

学生レポート

立命館大学生命科学研究科3年

今回の訪問では、国宝に指定されている本堂の堂々たる姿に圧倒されるとともに巨大な阿弥陀さまと相対することができる荘厳な空間に息をのみました。
本堂の中に入ると、巨木が生えているかのような巨大な柱が林立している光景に圧倒されました。そして特別に入らせていただいた内陣では、ご本尊さまがおまつりされている厨子を中心に人の背丈ほどの四天王立像が脇を固めている空間が広がり、四天王立像の迫力ある眼力やリアルな体の動きに言葉を失うほど感動しました。
また、丈六の阿弥陀さまがおまつりされている阿弥陀堂では、これほどの大きさの阿弥陀さまが火災や戦乱を潜り抜け現在まで受け継がれていることの凄さと必死に守り伝えた先人たちの情熱に圧倒されました。

history

ご由緒

元正天皇の勅願寺として、開山に定恵をむかえ、霊亀2年(716)に藤原宇合が伽藍を整備した。創建時の伽藍は弘安8年(1285)に焼失してしまうが、その後に再建された建物が現在も数多く伝えられている。南北朝時代には南朝勢力の拠点として多くの人々が集い、数多く伝えられている文化財がその遺風を今に伝えている。神戸十三仏霊場や新西国三十三箇所など様々な霊場の札所として多くの参拝者が集うほか、境内周辺に原生林が残り「太山寺風致地区」として親しまれている。

info

参拝情報

名称
三身山太山寺
(さんしんざんたいさんじ)
所在地
兵庫県神戸市西区伊川谷町前開224
googleMAP
参拝時間
8:30~17:00 ※12月・1月・2月は16:30まで
拝観料
300円
宗派
天台宗
御本尊
薬師如来
宝物殿
アクセス
【公共交通機関】
 ・神戸地下鉄「名谷駅」か「伊川谷駅」よりバス、太山寺下車
 ・神戸地下鉄「学園都市駅」より徒歩25分(2.1km)
【自動車】
 ・第2神明道路高丸ICより北へ10分
 ・阪神高速北神戸線前開ICより東へ5分
駐車場
有り
Webサイト
https://do-main.co.jp/taisanji/

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