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円仁が開いた「東北の比叡山」 急峻な岩壁の上に並び立つお堂の数々

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りっしゃくじ

立石寺

山形県山形市

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山寺と名高い、山形屈指の古刹立石寺。かの松尾芭蕉が立石寺を参拝し風光明媚な観光地として有名ですが、東北屈指の聖地としての姿はあまり知られていません。その代表と言えるのが、根本中堂の内陣を絶えず照らす「不滅の法灯」。法灯が延暦寺で一時途絶えた際、立石寺から灯火が分けられました。また、創建から約1200年もの間受け継がれる修行法や山中の霊窟におまつりされる慈覚大師のご遺骨、山中の崖に数多く彫られた供養碑は東北屈指の聖地として祈りの中心となった立石寺の姿をあらわしています。

巡りポイント

風光明媚な景色を目当てにたくさんの人々が訪れる立石寺。観光地としての立石寺は全国的に知られていますが、東北屈指の霊山としての立石寺、亡くなった方々の冥福を祈る場所としての立石寺の姿はあまり知られていません。立石寺を開いた慈覚大師が比叡山の姿をうつして伽藍を整備したと伝わる立石寺の境内を巡り、立石寺の奥深い魅力を体感していきましょう。

根本中堂(国指定重要文化財)

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日本最古のブナを用いた名建築

現在の根本中堂は延文元年(1356)初代山形城主・斯波兼頼により建てられた建物という。その後、幾度かの修理をうけ、現在の姿は慶長13年(1608)時の姿を復元したという。全国的にも珍しいブナを主に使用した建築で、間口5間、奥行5間の雄大な建築である。

感想■立石寺の中心の建物である根本中堂。その根本中堂は、日本最古のブナを用いた建築です。しかもそのブナの材木は立石寺の広大な境内に生えていたブナの木を使っているそう。ブナの大木がふんだんに使用されている根本中堂は、立石寺が霊山として豊かな自然の中に伽藍を構えていることを示しています。

不滅の法灯

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開山以来灯り続ける不断の灯火

根本中堂の内陣に灯り続ける灯火は、立石寺の開山のとき、慈覚大師が比叡山に灯り続ける不滅の法灯を移したものという。その後、天童頼長による立石寺の焼討ちを乗り越え、1000年以上連綿と受け継がれてきたという。織田信長による比叡山焼討ちにより比叡山の不滅の法灯が途絶えた際には、立石寺の灯火から分灯された。

感想■内陣を照らす灯火は、今からおよそ1000年以上前から灯り続ける不滅の法灯です。慈覚大師が比叡山より移した灯火を絶やさないように、立石寺のお坊さんは1000年以上、当番制で根本中堂に泊まり込んで護ってきたそうです。煌々と灯り続ける灯火からは歴史の重厚さを感じます。

根本中堂内の仏像群

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平安時代のご本尊・薬師如来とご本尊を護る仏像たち

ご本尊の薬師如来坐像は、平安前期、9世紀末に造立されたと考えられている。像高は半丈六の約130センチあり、京都の仏師が立石寺を訪れ、造立したお像であると伝えられている。50年に一度ご開帳されるお像であり、2013年にご開帳された際には多くの人々が参拝した。ご本尊の両脇には、日光菩薩・月光菩薩がおまつりされ、その横には十二神将立像が脇をかためる。当初の日光菩薩・月光菩薩・十二神将立像は江戸時代に寛永寺に移され、寛永年間ごろ(1624~1645)に移動した代わりに造立されたお像である。ご本尊の左の脇壇には毘沙門天立像がおまつりされている。近年の調査により、ご本尊と同じく平安時代初期に造立されたお像であるとされ注目されている。ご本尊の右手には僧形の文殊菩薩坐像がおまつりされている。比叡山と同様に、昔は門上におまつりされていたが、門が破損してからは根本中堂でおまつりされていると伝わる。

感想■根本中堂の堂内には、数多くのお像がおまつりされています。1体1体造立された時代も印象も異なる仏像ですが、それぞれのお像の雰囲気が調和していることが印象的でした。また、立石寺にかつておまつりされている日光菩薩・月光菩薩像が現在も寛永寺でおまつりされていることに驚きました。

奥の院への参道

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1000段を越える階段と岩壁に刻まれた石碑群

奥の院までには1000段にもなる階段をのぼらなければならない。その階段の両脇には、急峻な岩壁に刻まれた磨崖供養碑や石塔、石燈籠が参拝者を迎える。そのほとんどが江戸時代に刻まれたものである。

感想■奥の院までの参道を進むと、いかに立石寺の境内が豊かな自然に彩られているかがわかります。また、参道の両脇の急峻な岩壁一面に供養碑が彫られている風景は、立石寺の霊山としての側面を強く示しているのではないでしょうか。ここまで登れば奥の院までもう少し。残りの階段も頑張って登りましょう。

如法堂(奥の院)と納経堂

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開山から伝わる「如法写経行」

かつて比叡山の横川で慈覚大師によって始まったとされる如法写経行。この行法は、石の墨と草の筆を使い(石墨草筆)、1文字書くごとに3回礼拝をして法華経を書写する特別な作法を必要とする。如法写経行は立石寺でのみ受け継がれている。ご本尊は慈覚大師とともに中国を旅した釈迦如来と多宝如来である。書写した経典は断崖絶壁に位置する納経堂におさめるという。

感想■慈覚大師によって始まった行法が1000年以上連綿と受け継がれていることに驚きました。ご本尊も慈覚大師と深い縁のあるお像で、慈覚大師の祈りの姿を感じました。

大仏殿

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先祖供養の大仏さま

大仏殿の中央には像高5メートルの金色の阿弥陀如来が安置されている。この像は先祖供養のために、昭和に鋳造された。現在の大仏殿が平成に建立されてからこの場所でおまつりされている。また大仏殿の壁面には若くして亡くなった方々の供養のための絵馬「ムカサリ絵馬」がかけられている。

感想■大仏の優しい眼差しは、亡くなった方々に対する祈りや願いを受け止めているように感じました。僧侶の修行の場所としての側面だけでなく、庶民信仰の場所としての側面もある立石寺の奥深さの一端に触れた心地がしました。

開山堂と入定窟

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立石寺に眠る慈覚大師

貞観6年(864)の1月14日に、延暦寺の前唐院という場所で亡くなった慈覚大師のご遺体が、その夜のうちに光にのって北の方向へ飛んでいき、その光が到達したのが立石寺だったと伝わる。昭和23、24年(1948、49)の調査により入定窟の内部から棺とご遺骨、慈覚大師のお顔を模した木像が発見された。入定窟がある岩壁の上部には慈覚大師をおまつりする開山堂が建立されている。

感想■1000年以上昔のご遺骨やお像が入定窟で発見されたお話を聞き、いかに入定窟が人々に大切に想われ、護られてきたかを痛感しました。人々がたどり着くことが難しい巨大な岩壁の中腹に入定窟があることにも驚きました。

五大堂

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絶景を見渡せる懸造のお堂

舞台造の五大堂には、その名の通り五大明王がおまつりされている。舞台からは奥羽山系を一望でき、絶景が広がる。

感想■山寺と言えば五大堂から眺める絶景です。舞台から眺める景色からは、いかに立石寺が急峻な場所に建立されているかがわかります。1000段以上の階段お疲れ様でした。

report

学生レポート

立命館大学生命科学部4年

急峻な崖にたくさんのお堂が並び立つ立石寺。今回の訪問では、立石寺が様々な信仰的側面を持つことに驚きました。雄大な自然が広がる霊山としての立石寺、亡くなった方々の冥福を祈る先祖供養としての立石寺、風光明媚な景色を味わう観光としての立石寺。それぞれの側面の要素が複雑に絡み合うことで、祈りの厳粛さとともにどこか親しみやすい立石寺独特の空間が構築されているのだと感じました。

history

ご由緒

平安時代前期に延暦寺第三代天台座主の慈覚大師円仁によって開山、初め常願寺と称したという。貞観2年(860)、立石寺と改称し、清和天皇から印を下賜される。鎌倉時代、五代執権北条時頼の命により一時禅宗に改められるが、間も無く天台宗に戻る。 中世には戦乱に巻き込まれ、天童氏の攻撃を受けるが、最上氏の支援で復興される。 江戸時代には松尾芭蕉が訪れ、「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の句を残している。

info

参拝情報

名称
宝珠山立石寺
(ほうじゅさんりっしゃくじ)
所在地
山形県山形市山寺4456-1
googleMAP
参拝時間
4月-9月 8時~16時
12月-3月 8時~15時(閉門時間16時)
拝観料
<入山料>
大人:300円
中人(中学生):200円
小人(4歳以上):100円
<宝物殿>
大人(高校生以上):200円
小人(4歳以上):100円

<根本中堂内陣参拝>
200円
宗派
天台宗
御本尊
薬師如来
宝物殿
あり
アクセス
(電車でお越しの場合)
JR仙山線「山寺駅」より徒歩10分

(お車でお越しの場合)
山形自動車道「山形北IC」下車
山形北IC下車後「山寺」という標識を頼りに20分ほどお進みください。
駐車場
あり
境内MAP
Webサイト
https://rissyakuji.jp/

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