「歴史を繋いだ想いを未来へつなげる」日本文化の魅力交流ポータル

  • Instgram
  • facebook

三体の十一面観音菩薩が見守る鎌倉最古の寺院

いいね 0

すぎもとでら

杉本寺

神奈川県鎌倉市

  • 行きたい
  • 行った
神奈川県鎌倉市に位置する杉本寺は行基菩薩の開山と伝えられ、鎌倉における最古の寺院であるとされています。また坂東三十三観音の第一番札所とされており、多くの人々から現在にまで篤く信仰されてきています。

巡りポイント

杉本寺は、山の中腹に位置しており、前を通る鎌倉街道は昔も今もにぎやかですが、一歩境内に入ると緑に包まれ穏やかな時間の流れる静かな空間が広がっています。この鎌倉に幕府ができる前の奈良時代から長い間、この地を見守り多くの人々の祈りをみつめてきた観音さまが人々を見守ります。

山門

  • 山門
  • 山門
  • 山門
  • いいね

運慶作と伝わる仁王像が参拝者を出迎える

参道を進むと現れる茅葺の山門には、運慶作と伝わる仁王像が安置されている。向かって右手側には口を開けている阿形像が、向かって左手側には口を閉じている吽形像が安置されている。両像とも彩のある彩色が施されている。

感想■豊かな自然が階段の左右に広がる参道を進むと現れる山門周辺の光景は、現代から時間を巻き戻して中世にタイムスリップしたかと思えるほど、趣のある空間となっていました。ご住職に伺うと、茅葺屋根を維持する事は非常にたいへんで、今まで20年に一度の葺き替えだったのが、地球温暖化の影響で今は10年に一度のペースでないと間に合わないそうです。日本の原風景が広がるこの光景が無くならないように、自分ができることを少しずつでも行っていきたいなと思いました。

本堂(神奈川県指定文化財)

  • 本堂(神奈川県指定文化財)
  • いいね

関東大震災を耐え抜いた江戸時代の本堂

江戸時代の延宝6年(1678)に造られたとされる棟札が残る本堂である。寄棟茅葺で、内陣・外陣に分かれる中世密教本堂形式である。

鎌倉は100年前の関東大震災の影響で、多くの寺院の建物が倒壊しているが、杉本寺本堂は岩盤の上に建っていたこともあり、現在も江戸時代の建物が残っている。

感想■本堂の中に入ると多くの絵馬が飾られており、驚きました。坂東札所一番の札所霊場としての多くの人々の願いが現れているように感じました。

3体の十一面観音菩薩立像(うち2体国指定重要文化財)

  • 3体の十一面観音菩薩立像(うち2体国指定重要文化財)
  • いいね

名だたる高僧たちに造られたとされる3体の十一面観音像

杉本寺本尊は3体の十一面観音菩薩である。天平6年、聖武天皇の后であった光明皇后の発願により、行基菩薩が大蔵山において一刀三礼にて自ら21日間かけて十一面観音菩薩像を造りお祀りしたことに始まっており、慈覚大師円仁や恵心僧都源信は、行基菩薩の造られた像に感銘を受け、同じように一刀三礼にて21日間かけて十一面観音菩薩像を造られ、共に安置されている。

感想■法要の後にご本尊を拝観させていただきました。鎌倉幕府が開かれた場所として有名なこの鎌倉という地に、それ以前から安置されているお像が伝えられていることに驚きました。3体のお像が安置されていましたが。玉眼が施されている像や鉈彫りの像、衣文を穏やかに表す像など大きさや技法などそれぞれが異なる表現の像で、そのことからも長い間様々な人々によって信仰されてきたことが分かりました。

本堂におまつりされる仏さま

  • 本堂におまつりされる仏さま
    源頼朝公寄進と伝わるお前立・十一面観音立像
  • 本堂におまつりされる仏さま
    源頼朝公寄進と伝わるお前立・十一面観音立像
  • 本堂におまつりされる仏さま
    源頼朝公寄進と伝わるお前立・十一面観音立像
  • いいね

歴史上の有名な方々との繋がりが今に伝わる

杉本寺の本堂には、教科書で一度は目にしたことのある偉人と関係があると伝えられている様々なお像がおまつりされている。本堂の中央におまつりされるお前立の十一面観音立像は、文治5年(1189)の火災後、建久2年(1191)に源頼朝が杉本寺を参拝し復興のための寄進を行った際に寄進されたお像であると伝えられている。このお前立像の左右には、先々代住職である慈海僧正が造立した十一面観音立像と宅間法眼が造立したと伝わる毘沙門天立像がおまつりされている。正面向かって左側には運慶と快慶が造立したと伝わる2躯の地蔵菩薩立像が、右側には、運慶が造立したと伝わる観音三十三身像と作者不明の不動明王立像がおまつりされている。

感想■杉本寺におまつりされる仏さまは、どのお像も教科書で一度は目にしたことのある方々との関わりが伝えられているとお聞きし、杉本寺がいかに大切な存在としてみなされていたかが伝わってきました。また、観音三十三身像は、表情もユーモラスで親しみやすく、人のようで人の頭ではない方も何躯かいらっしゃり、その姿は飽きる事がありませんでした。

観音の縁日の法要

  • 観音の縁日の法要
  • いいね

多くの人々が参拝に来られるご本尊のご開帳

観音様のご縁日である1日・18日には護摩が行われ、その後ご本尊のご開帳が行われる。観音様のご縁日は年々参拝者が増え、特に1月、5月、9月の正五九と呼ばれる月は、ご本尊様とのご縁が深まる月であるため参拝の方が多くなる。

感想■ご縁日に訪問させていただいたのですが、多くの参拝の方がいらしており杉本寺の信仰の篤さを感じました。札所霊場として、歴史ある寺院として、今まで多くの人々の信仰を集め、その信仰が現代に続いていることを実感できるようでした。

report

学生レポート

奈良大学文学部文化財学科4年

長い歴史の中で多くの方々による杉本寺に対する厚い信仰に驚きました。本堂のあらゆる場所に千社札や絵馬が飾られ、護摩行に参列されている方も多くおられるなど、現在もこのお寺が深く愛されていることを肌で感じることができました。観音様のご縁日で行われる護摩行が始まり、護摩の火が高く上り煙に包まれていくとともに、参拝の方々と唱えるお経や御真言等の言葉が響き合い広がっていくように感じられ、この「音」はご本尊様にも必ず伝わっていると思いました。これは護摩を行うご住職と共に参拝の皆さんが声を発しているからこそ、生まれたものであり願いが多く込められているからであるのだと感じることができました。

history

ご由緒

天平6年(734)、杉本寺は聖武天皇の后である光明皇后の願いにより、藤原房前卿と行基菩薩によって創建された。ご本尊は創建時に行基菩薩が造立した十一面観音、慈覚大師円仁が造立した十一面観音、恵心僧都源信が造立した十一面観音の三体の十一面観音立像である。 杉本寺という寺号の由来は、鎌倉時代、火災の際に3躯のご本尊が自ら大杉の下に火を避けたことにちなんでいるという。 中世には大倉観音堂とも呼ばれており、文治5年(1189)の火災後には源頼朝が復興の援助を行い、現在のお前立の十一面観音立像が造立された伝わる。坂東三十三か所巡礼の第一番札所としても親しまれている。

info

参拝情報

名称
大蔵山杉本寺
(だいぞうざん すぎもとでら)
所在地
神奈川県鎌倉市二階堂903
googleMAP
参拝時間
9:00〜16:00(15:45受付終了)
拝観料
一般(高校生以上):300円
中学生:200円
小学生:100円
宗派
天台宗
御本尊
十一面観音
宝物殿
なし
アクセス
公共交通機関
■JR横須賀線「鎌倉駅」から徒歩25分
■鎌倉駅発 京急バス 4番乗り場「杉本観音」下車 徒歩1分
駐車場
なし(近隣の駐車場をご利用ください)
Webサイト
https://sugimotodera.com/
SNS
  • Instgram
  • Instgram

近くの寺院を巡ろう