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ご由緒
武将たちから庇護をうけた岡崎屈指の名刹
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愛知県岡崎市
瀧山寺には運慶が造立した聖観音立像をはじめとして、多くの文化財が大切に守られてきました。これは瀧山寺の栄盛と厚い信仰によるものでした。瀧山寺には数々の仏さまがおまつりされていることに加え、隣接する瀧山東照宮を筆頭に様々な神様もおまつりされ、神さまと仏さまが同じ場所におまつりされる神仏習合の祈りの空間が広がっています。
瀧山寺の境内からやや離れた位置に立つ三門は、鎌倉時代に飛騨の匠藤原光延によって造営されたとされる門で、重要文化財に指定されている。 尾垂木と呼ばれる木材が一箇所だけ逆になってしまっており、藤原光延は大工としてのプライドからこの誤りを理由に門の上からノミをくわえて飛び降り自害したと伝わる。
瀧山寺本堂は和様を主とし、部分的に禅宗様を取り入れている。本堂の建立年代は『滝山寺縁起』によって貞応元年(1222)に足利義氏(室町幕府を開いた足利尊氏の先祖)によって再建されたとされているが、建築様式などから、14世紀後半頃の建立とも考えられている。 本堂内部には、秘仏ご本尊・薬師瑠璃光如来像をはじめ、日光菩薩・月光菩薩・十二神将立像(国指定重要文化財)や毘沙門天立像(愛知県指定文化財)、不動明王坐像(岡崎市指定文化財)、木造弁財天像(岡崎市指定文化財)、伝教大師坐像など様々な仏さまがおまつりされている。
瀧山寺本尊薬師如来坐像は、50年に一度のご開扉が行われるお像である。令和7年にご開扉が行われた。160cm程の大きなお像で、平安時代の作であるとみられる。長い間秘仏とされていたため、保存状態は良好であると考えられる。
鎌倉時代1210年~1220年頃の製作であると考えられる作風を有する十一面観音立像である。像高50㎝程の小さなお像でありながら玉眼を嵌入し、表面には様々な文様が施されている。保存状態が良く、当初の銅製装身具の大半や表面彩色等が遺る。十一面観音としては高い髻、後補の頭上面や化仏からは、元来は弥勒菩薩としてあった可能性が指摘される。康慶から定慶、善円へとつながる興福寺周辺の仏師の作であると考えられており、正治3年(1201)頃の運慶作の瀧山寺聖観音菩薩立像と合わせ、瀧山寺の鎌倉時代における興隆を感じることのできる像である。
宝物殿の中には、頼朝公ゆかりの観音像のほか国指定無形民俗文化財に指定される「鬼祭り」に使用する面や愛知県指定文化財の十一面観音菩薩立像や狛犬、菩薩面、錫杖、市指定文化財の慈恵大師像や天台大師像、十一面観音菩薩等様々な仏像や古文書、工芸品が安置されており、瀧山寺の信仰の深さを実感できる。
瀧山東照宮は瀧山寺に隣接する神社。江戸時代に徳川家光公の命により現在の場所に創建したという。江戸時代の正保2年から正保3年(1646)にかけて、造営奉行・竹中重常のもとで建立・整備された鳥居、水屋、拝殿・幣殿、中門、本殿が境内に伝えられており、境内を囲む石柵や拝殿の前の銅灯籠なども含めて、国の重要文化財に指定されている。加えて、正保3年に徳川家光公と徳川家綱公がそれぞれ奉納した太刀 銘長光と太刀 銘正恒が伝えられており、ともに国の重要文化財に指定されている。とまた、境内には大名から寄進された灯籠が立ち並んでいる。拝殿の内部には、狩野探幽が描いたという三十六歌仙の額絵が飾られている。近年彩色の塗り直し修復が行われ、建立当初の鮮やかな姿がよみがえった。
瀧山寺の本堂背後には、日吉山王社の本殿が建つ。日吉山王社は、12世紀頃、瀧山寺を中興した仏泉上人永救によって比叡山の麓に社殿を構える日吉大社から瀧山寺の鎮守として勧請されたことに始まるという。文応2年(1261)には、七間一面檜皮葺きの社殿を建立したと伝えられている。慶長13年(1608)に徳川家康公により建てられたと伝えられているが、現在に伝えられている建物は、本殿床下の背面板壁に「正保二年六月」と記された墨書が残されていることや建築部材の様式が瀧山東照宮の建物を構成する部材の様式と似ていることから、瀧山東照宮が建立された正保2年に再建されたと考えられている。全国的に七間社以上の流造の本殿建築は珍しいことに加えて、身舎(もや)を分けずに横長一室で構成する様式はさらに珍しく、全国的に見ても貴重な建築とされる。桟瓦葺きに改められていたが、平成31年(2019)から令和3年(2021)にかけて行われた全解体修復事業により、杮葺きに戻され往時の姿を取り戻している、日吉山王社には、鎌倉時代に遡る山王神像群が伝えられており、平成27年には岡崎市の文化財に指定された(岡崎市美術博物館寄託)。
瀧山寺奥にある水体薬師は、水を薬師如来としておまつりする信仰である。祠があり、その中には水が湧いている。水を薬師如来としてまつる寺院は岡崎市内に他にもあり、この周辺にみられる独特な信仰形態である。
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立命館大学 4回生
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立命館大学大学院 博士課程
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奈良大学文学部文化財学科3年
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