大師堂の堂内に安置されている2つの厨子の内部には、ともに比叡山中興の祖とされる第18代天台座主・慈恵大師良源の御尊像をおまつりしている。慈恵大師良源は1月3日に亡くなったと伝えられていることから、『元三大師(がんざんだいし)』と呼ばれ、1月3日がご縁日となっている。龍蔵寺では、1月3日に2つの厨子の扉を開き、2体の慈恵大師像のお姿を皆さんにお参りいただいている。
向かって左側の厨子の内部におまつりされている慈恵大師像は、煤けて真っ黒なお姿をされているという。このお像には浅間山大噴火に関係する逸話が伝えられている。
天明3年(1783)、浅間山が大噴火した際に利根川の堤防工事を実施していた人々が災害の危険にさらされたという。すると、どこからか黒い衣を身にまとったお坊さんが現れ、御祈祷を行い人々を助け、人々が気が付く間もなくお坊さんの姿は消えてしまった。人々はこの出来事を不思議に思い、お坊さんの正体は信仰を集めている龍蔵寺のお大師様ではないかと思い、真偽を確かめるために人々はお厨子の扉を開けたという。すると、東向きに安置していたお像が西向きに代わっており、さらには全身に汗をかいていらっしゃったという。まさに生きている御尊像ということで、人々からさらなる信仰を集めたという。
中央のお厨子の内部におまつりされている慈恵大師像は、数珠繰りをしながら祈願するお姿をされているお像がおまつりされている。お厨子の左右には、慈恵大師の脇侍である二童子がおまつりされている。
また大師堂内には、不動明王及び二童子立像や愛染明王坐像、十二天立像など様々な仏様がおまつりされている。
感想■厄除け信仰で知られる元三大師様。天明の大噴火の際に人々を救済したという逸話が印象的でした。江戸時代から途絶えることなく人々に信仰される元三大師様だったということが伝わってきました。