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平安の面影を残す浄土庭園と延年の舞

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もうつうじ

毛越寺

岩手県西磐井郡平泉町

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奥州藤原氏によって伽藍が整備された毛越寺は、当時の伽藍こそ失われてしまったものの、平安時代当時の庭園が良好な状態で保存され、当時の大寺院の景観を今に伝えています。 また、常行堂で行わる延年の舞は、平安時代末期のから口伝で伝わり当時の祭祀の姿が色濃く残されています。奥州藤原氏の夢の跡で平安時代に思いを馳せてみませんか。

巡りポイント

毛越寺には平安時代の浄土庭園が残されており、お寺を回ることで仏の世界を味わうことができます。また庭園や芸能、仏像等の文化財はそれぞれ人々の厚い信仰と努力によって残されています。お寺をまわりながら、人々の守ってきた想いに触れてみましょう。

浄土庭園

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仏の世界を地上に現わす平安時代の庭園

日本最古の庭造りの秘伝書『作庭記』に忠実に基づいて作られた浄土式庭園の代表作。

北にある塔山を背景にし、苑池美観が広がっており、大泉が池は浄水をたたえ様々な海岸線を描き、洲浜、荒磯風水分け、浪返しにあたる立石、枯山水風築山、平安時代唯一の遺構・遣水など自然本来の美しさ、景観が表現されています。

規模としては日本最大であり、800有余年を経た現在も、平安時代の姿と変わらぬ美しさで四季折々の表情をみせています。

その景観は、全国に九件しかない特別史跡・特別名勝の二重指定を受けています。

感想■現在残されている庭園を見るだけでも美しく、ここに当時は堂宇の美しさが加わっていたことを加味すると当時の人にとってはこの地が浄土であると思わせるような場所となっていたように思いました。

本堂

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平安様式で再建された本堂

現在の本堂は平成元年(1989)に平安時代の様式で再建されたものです。

本尊薬師如来像は岩手県指定の重要文化財で、平安時代後期の作でとなります。

脇侍として、日光菩薩、月光菩薩が控え、その薬師三尊の周りを四天王が東西南北を守護するように鎮座しています。

感想■本堂の中が丹塗りで塗られたきれいなお堂でした。ご本尊として安置されている薬師如来坐像がどんと中心に安置されており、穏やかな顔をしながらも力強い印象も感じました。

常行堂

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延年の舞が現在に至るまで行われ続けられている

慶長二年(1597)に火災に遭い、享保十七年(1732)に仙台藩によって再建されました。

本尊は宝冠阿弥陀如来坐像で、両側に四菩薩が安置されています。

また、奥殿に秘仏で修法と堂の守護神である「摩多羅神」が安置され、三十三年に一度のご開帳となっています。

一月二十日の摩多羅神祭(別名:二十日夜祭)における三昧供の修法の後に「延年の舞」が奉納されており、重要無形民俗文化財に指定されています。

感想■延年の舞という無形の文化財が、戦乱等の影響を受けお堂が荒廃しながらも現在にまで受け継がれていることに驚きました。お寺の人々等の守りたいという強い気持ちに感銘を受けました

宝物館

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毛越寺の歴史や文化財を伝える

毛越寺一山に伝わる仏画・仏像などの文化財や発掘遺品、国の重要無形民俗文化財指定「延年の舞」に使用される道具などを所蔵・展示しています。

また、毛越寺と奥州藤原氏の歴史についても学ぶことができます。

感想■毛越寺一山に伝わる文化財が多く展示されていました。重要文化財に指定されている舞草鍛冶の作と伝わる鉄樹が展示されており、平安時代の高度な鍛鉄技術を窺えるとともに、このような工芸品に力を入れる豊かさも感じることができました。

高館義経堂

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源義経の最期の地

毛越寺が管理する飛地境内(岩手県西磐井郡平泉町平泉字柳御所14)に源義経公を祀る高館義経堂があります。

兄頼朝公と対立した義経公は藤原泰衡に責められ、一説にはこの地で最期を遂げたとも言われており、 また松尾芭蕉の有名な句、「夏草や 兵どもが 夢の跡」もここで詠まれたとされています。

※通常はアクリル扉により保護しています。また冬季期間は休業しております。

感想■義経堂を訪れ眼下に北上川が広がる美しい景色を前にして、芭蕉や源義経が訪れた場所と同じところに立っていると思うと興奮しました。高台に位置しているため見渡すことができ、芭蕉がここで句を詠んだのも理解できるように感じました。

report

学生レポート

奈良大学・三年

平安時代に造られた大きな浄土式庭園が、そのままの形で残されていることに驚きました。現在残されている庭園に加え、当時はここに美しい堂宇があったことを想像してみると、平安の世の人たちにとっては、まさにこの地が浄土のように感じられたのではないと思います。庭園が礎石なども完形で残されているのは仙台藩のおかげであるということを知りました。この庭園を荒らさせることのないように植林を行ったり、隣の観自在王院では土を盛ることで遺跡自体を傷つけることを防いだりと現代でも行っているような文化財保存の方法を用いており、先見の明があったのだと思いました。守っていく人々の協力があったからこそ今見ることのできているものであるということを実感しました。(2022年5月29日)

history

ご由緒

寺伝によれば平安時代前期の嘉祥三年(850)、慈覚大師円仁による創建。その際、白鹿伝説が残されています。平安時代末期、堀河院・鳥羽院両帝の勅願により奥州藤原氏二代目基衡から始まり、三代目秀衡により完成されました。

最盛期には「霊場の荘厳、吾朝無双」と称賛された七堂大伽藍の落成により中堂は勅号『圓隆寺』を賜ります。その規模は、「堂塔四十余宇、禅房五百余宇」と歴史書『吾妻鏡』に記され、中尊寺を凌ぎ、日本最大級の物であったとされます。奥州藤原氏滅亡後は、鎌倉時代から戦国時代にかけて同舎が失われてしまいます。ですが、平安時代の遺構と浄土庭園がほぼ完全な状態で現在でも保存されており、国の特別史跡・特別名勝の二重指定を受けております。

また、江戸時代・享保十七年(1732)には、延年の舞の舞台でもある常行堂が伊達氏21代当主・伊達吉村により武運長久を祈って再建されております。

info

参拝情報

名称
醫王山 毛越寺
(いおうざん もうつうじ)
所在地
岩手県西磐井郡平泉町平泉大沢58
googleMAP
参拝時間
拝観時間/午前8時30分〜午後5時
※11月5日~3月4日は午前8時30分~午後4時30分
拝観料
大 人 700円
高校生 400円
小・中学生 200円
※障害者手帳提示で半額
宗派
天台宗
御本尊
薬師如来
宝物殿
あり(宝物館)
アクセス
JR「平泉駅」から徒歩7分、車3分
駐車場
あり(大型車 750円、マイクロ 600円、普通車 300円、自動二輪 50円)
境内MAP
Webサイト
https://www.motsuji.or.jp/
SNS
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備考
【高館義経堂】
岩手県西磐井郡平泉町平泉字柳御所14
https://www.motsuji.or.jp/gikeido/

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