光前寺

本堂は幕末の嘉永四年（1851）の建築。 御本尊は不動明王で、七年に一度ご開帳される。 戦国時代には不動明王が武田氏の信仰を集め、戦勝祈願の願文が奉られたと伝わる。

およそ700年前、光前寺では早太郎という犬が飼われていた。同じ頃、遠江国（現在の静岡県西部）の見付天神社では神様に娘を生贄として捧げる風習があった。しかし、その神様は実は怪物であり、信濃国（長野県）早太郎を恐れているということを一実坊弁存という旅の僧が突き止めた。弁存は光前寺から早太郎を連れて怪物を退治することができたが、早太郎は傷を負い、光前寺に帰るとそのまま息を引き取ってしまった。

本堂前の庭園は鎌倉時代に作庭された姿を残しているとされている。 池泉回遊式庭園で石組みは鯉が滝を上り龍になる姿を表現しており、『龍門瀑（りゅうもんばく）』と呼ばれている。

三重塔は江戸時代後期の文化五年（1808）の建立で、長野県宝に指定されている。 そのバランスのとれた形と繊細な彫刻が高い評価を受けている。

弁天堂は室町時代に建てられたと考えられている建築で、国指定の重要文化財となっている。