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蓬莱伝説が伝わる延岡を代表するお寺

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ぜんしょうじ

善正寺

宮崎県延岡市

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始皇帝の命により不老長寿の薬草を求めて徐福(じょふく)が日本を訪れたという伝説が残る宮崎県延岡市。そんな延岡市には、徐福伝説にいろどられ、人々に元気を与え続けるお寺、善正寺があります。延岡市の中心部に伽藍を構える善正寺は、今からおよそ1300年前の西暦719年に歴史がはじまったと伝えられています。長い歴史を誇る善正寺の境内には、延岡の歴史を物語る数々があります。

巡りポイント

徐福伝説の残る善正寺は、養老3年(719)に開かれた歴史の深い寺院です。善正寺は檀信徒皆さまの心のよすがとされ、一方地域の皆さまから愛される寺院でした。本堂やご本尊さま等をご参拝され、それらに込められた延岡の皆さまの想いや温かさに触れていただきたいです。

本堂

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天台様本堂式を取り入れた本堂

昭和五十五年の境内伽藍大改修建立の本堂である。比叡山根本中堂と同じ天台様式に基づいた建築構造をしている。そのため、内陣は外陣より下がった構造をしており、参拝者がご本尊と目線が合うようになっている。中央におまつりされるご本尊は阿弥陀如来坐像である。その両脇には脇仏として釈迦如来像と薬師如来像をおまつりしている。また、善正寺では毎年5月5日に延岡空襲で犠牲となった延岡の人々とB29に搭乗していたアメリカの搭乗員の慰霊を行っている。この慰霊は、延岡空襲の際に犠牲となったアメリカの搭乗員の御遺体を善正寺で埋葬されたためであり、後に御遺体を引き取りにいらっしゃったご遺族とは今も交流が続いているという。お厨子の前には、『B29』と記された卒塔婆と搭乗員の方の遺影がおまつりされている。

感想■地域のお寺の造りとして、天台様式の建物であることは珍しいと感じました。天台様式の建物として建て直されたのは、当時の総代会長が伝教大師が残された教え「一隅を照らそう!」や言葉「忘己利他」を大切にされていた方であり、その方が再建する際に檀家の皆さんに伝教大師の魅力を熱く語って賛同を得たからだとお聞きしました。延暦寺と同じにするとしたお寺や檀家のみなさまの、天台宗に対する愛が込められているように感じました。

仁王門(石仏)

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大きな石造の仁王さま

240年ほど前に造られた荒削りの仁王様である。石工の師匠がこの像の制作途中に志半ばで亡くなられてしまい、弟子がその後を継ごうとしたのが夢枕で手を加えるなと告げたため荒削りのままとなっている。
感想■来るときは右の仁王さんに触り、帰るときに左手の仁王さんに触るとご利益があるとされているそうです。両像の内側が擦れたように感じ、多くの参拝があったことを示しているように感じました。

善正寺兼務寺院・今山大師

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    本堂
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    秘仏ご本尊・弘法大師坐像
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    おまつりされる様々な仏さま
  • 善正寺兼務寺院・今山大師
    本堂天井に描かれる仏たち
  • 善正寺兼務寺院・今山大師
    本堂の天井に描かれる仏たち
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    日本最大の弘法大師像
  • 善正寺兼務寺院・今山大師
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疫病から延岡を守った本尊「弘法大師」をまつる

今山大師は、天台宗でありながら弘法大師空海をおまつりしている。天保10年(1839)、疫病の蔓延する延岡の村の1つ・東海村に住む満石幸蔵は、弘法大師像を皆で拝むことで疫病を克服できるのではないかと考えた。息子の治助を連れての四国八十八か所巡礼後、高野山を詣でた幸蔵は高野山で弘法大師坐像をいただいて延岡へと戻り、村の有志と共に今山の一角に小さな庵をたてておまつりしたという。すると流行していた疫病はたちまち終息した。そのため、「疫病封じのお大師さま」として大いに信仰を得て、村の人々によって維持管理されていたという。大正7年まで村の管理でいたが、たくさんの方々がお参りに訪れる事から、宮崎県知事から指導があり管理者を置くことが求められた。そのとき村人の勧めによって善正寺が以後今山大師の管理することとなった。山上にある弘法大師像は日本最大とされ、毎年4月に開催される九州三大春祭りの1つ延岡今山大師祭「お大師さん」は、たくさんの人々が参拝される。

感想■弘法大師空海を本尊としてお祀りしているのだと聞き驚きました。弘法大師像から温かく安心できるようなものを感じました。天台宗という違った宗派のお寺の本尊として管理されながらも、大切にお守りしてくださっている感謝の気持ちが現われているように思いました。

report

学生レポート

奈良大学文学部文化財学科3年

善正寺本堂の改修のお話や位牌堂のお話を聞いてとても檀家の皆さんとの距離感が近く、協力体制がしっかりとしているように感じました。ご住職の人柄や思いはもちろんのこと、先祖代々から続いてきたお寺と檀家の繋がりの根底に、伝教大師最澄のことを思い伝えようとするお寺の方々と、それに共感し最澄の大ファンとなった檀家の皆さんの最澄さまへの崇敬があるからこそ、今にも伝わる強い信仰となっているのだと感じました。

history

ご由緒

養老3年(719)に開かれた蓬莱山金仙寺を起源にもち、天正15年(1587)に善正寺という寺号になったという。それ以来多くの信仰を集め、境内の入り口には240年ほど前に造立された石造の仁王像がにらみをきかせている。現在の本堂は昭和55年に建立された延暦寺根本中堂様式の建物である。大正7年(1918)から弘法大師をおまつりする今山大師を兼務することでも知られている。

info

参拝情報

名称
蓬莱山善正寺
(ほうらいさんぜんしょうじ)
所在地
宮崎県延岡市下町3丁目4088
googleMAP
参拝時間
9:00-17:00
参拝料金
志納
宗派
天台宗
御本尊
阿弥陀如来
宝物殿等
なし
アクセス
延岡駅 から徒歩6分(441m)
■公共交通機関
中川原町一丁目バス停 から徒歩3分(227m)
延岡駅前バス停 から徒歩4分(254m)
山月町バス停 から徒歩4分(319m)
駐車場
あり