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伝教大師が訪れた群馬県有数の名刹

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じょうぼうじ

浄法寺

群馬県藤岡市

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鑑真和上の弟子、道忠によって創建されたと伝わる浄法寺は、上野国(群馬県)を代表する寺院として、伝教大師最澄が東国を巡礼した際に立ち寄ったことで知られています。 最澄が全国6ヶ所に造営しようとした六所宝塔建立の地でもあり、六所宝塔の祈りの歴史を伝える相輪橖(そうりんとう)が地域を見守り続けています。
  • 伝教大師金色尊像
  • 本堂《文化元年(1804)/八田清兵衛建立》
  • 相輪橖《藤岡市指定文化財》

巡りポイント

今から約1200年前、伝教大師が訪れた浄法寺には伝教大師の祈りを伝える様々な旧跡や仏像がおまつりされています。聖徳太子による草創以来、約1400の悠久の歴史が境内に満たされています。

山門

  • 山門
  • 山門
  • 山門
    左甚五郎作と伝わる『松竹梅と鶯』の彫刻
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悠久の歴史を象徴する堂々たる浄法寺の入口

山門は浄法寺の正門。山門には、浄法寺を表す『緑野教寺(みどのきょうじ)』と記された扁額が掲げられている。

 

現在の浄法寺において最も古い建物であると考えられており、山門を構成する様々な部材の表現様式から、安土桃山時代から江戸時代初期頃に建立された建物であると推測されている。

 

また、山門に施された彫刻のうち、『松竹梅と鶯』は日光東照宮の『眠り猫』で有名な名工・左甚五郎による彫刻であると伝えられている。

感想■木々の間に建つ山門の堂々とした建ち姿が印象的でした。聖徳太子による草創から約1400年以上、上野国を代表する名刹として歴史を歩んでこられた風格を感じる建物でした。

本堂

  • 本堂
  • 本堂
  • 本堂
    『二十四孝』透かし彫り欄間
  • 本堂
    本堂棟札
  • 本堂
    江戸時代に浄法寺住職が使用した駕籠
  • 本堂
    御本尊・木造阿弥陀如来立像
  • 本堂
    木造聖徳太子立像
  • 本堂
    手前:木造聖徳太子立像、奥:御本尊・木造阿弥陀如来立像
  • 本堂
    木造聖観音菩薩立像
  • 本堂
    浄法寺へ納められた法華経
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江戸時代の名工が建てた浄法寺中心のお堂

現在の浄法寺本堂は江戸時代後期の文化元年(1804)の建築。江戸時代の名工として知られる八田 清兵衛(はった せいべえ)によって建立された。八田清兵衛は、かつて台東区谷中に建ち多くの文学作品に登場する谷中天王寺の五重塔を建てた大工としても知られ、幸田露伴の小説『五重塔』の主人公・大工十兵衛のモデルとされている。

 

戦国時代の天文21年(1552)、北条氏と上杉氏との争いにより以前の本堂の焼失後、地元の方々が木材を持ち寄って仮の本堂が建てられたという。その後約250年を経て、現在の本堂の再建が叶ったと伝えられている。

 

堂内の欄間には、親孝行にまつわる24のお話である『二十四孝(にじゅうしこう)』の逸話が透かし彫りで表現されている。さらに、江戸時代の浄法寺の住職が使用したという駕籠が吊るされている。

 

本堂の中央には、浄法寺の御本尊である木造阿弥陀如来立像がおまつりされている。また御本尊様の前には、浄法寺を草創した聖徳太子のお像がおまつりされるほか、南北朝時代の造立と考えられている聖観音菩薩立像、近年の修復により頭部が平安時代に造立されたことが判明した地蔵菩薩立像がおまつりされている。

 

また、信者の方々やご縁のある方々によって写経された法華経が大切に納められている

感想■地元の人々が仮の本堂を建てたという歴史から、浄法寺が地域の方々にとっても大切な存在であったことが伝わってきました。 地域の人々の支援を受けてお寺の歴史が紡がれていくんだと実感できるエピソードでした。

大師殿・伝教大師御廟堂

  • 大師殿・伝教大師御廟堂
    伝教大師御廟堂
  • 大師殿・伝教大師御廟堂
    大師殿
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伝教大師の祈りを伝える

本堂の右手には朱色が施された伝教大師御廟堂が、その前には伝教大師御廟堂の拝殿である大師殿が建つ。

 

伝教大師御廟堂には伝教大師の御尊像がおまつりされており、50年に一度その扉が開かれるという。

感想■伝教大師が東国巡錫の際に浄法寺を訪れた際、浄法寺で法華経の教えを説かれ、約3カ月の間に9万人が訪れたとご住職よりお聞きしました。『誰でも仏になれる可能性がある』と説かれた伝教大師の教えが地域の人々に大切にされてきた歴史が、伝教大師御廟堂や大師殿にあらわれていると感じました。

伝教大師金色尊像

  • 伝教大師金色尊像
  • 伝教大師金色尊像
  • 伝教大師金色尊像
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約1200年前、東国へ巡錫した伝教大師のお姿

境内に入った正面に立つ伝教大師金色尊像は、平成2年(1990)に天台宗群馬教区の256寺が比叡山開創1200年記念に建立を発願し、京都・三十三間堂の十一面千手観音菩薩像を修復された大仏師・西村公朝師によって造立された1丈4尺5寸(約4.2m)のお像。

 

伝教大師最澄が東国を巡錫されたときの旅姿を表しており、右手には錫杖ではなく歩行を補助する弾力性のある若木の杖、左手は法華経を収めた包みを持ち、その上には念持仏のお薬師さまを入れた巾着が、さらに足元も草鞋ではなく、遣唐使時代に唐から持ち帰った履き物を履いている。尊像の左右に設置されている石は梵天・帝釈天を表している。

 

令和3年に化粧直しされて金色の輝きを取り戻した。

感想■見上げんばかりの大きな伝教大師の御尊像は放つ迫力に圧倒されました、現在とは異なり、電車も飛行機も無い時代。命がけで東国巡錫をされた伝教大師の覚悟を感じさせるお像であると思いました。

伝教大師護摩修行跡・独鈷水

  • 伝教大師護摩修行跡・独鈷水
    伝教大師護摩修行跡
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境内に残る伝教大師の祈りの痕跡

本堂の裏手に保存されている石の護摩壇は、伝教大師が東国巡錫で当地を訪れた際に護摩修行をした場所であると伝えられている。

 

さらに、駐車場と弁天堂の間には、伝教大師が密教法具である独鈷(とっこ)で掘ったとされる『独鈷水』が湧く井戸が伝えられている。

感想■浄法寺の境内には、伝教大師が当地を訪れ滞在した様々な痕跡が残されていました。約1200年もの間、伝教大師の教えを大切に守り伝えられてきた先人たちの姿を感じました。

相輪橖(藤岡市指定文化財)

  • 相輪橖(藤岡市指定文化財)
  • 相輪橖(藤岡市指定文化財)
  • 相輪橖(藤岡市指定文化財)
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六所宝塔の祈りを繋ぐ

伝教大師は国を守護するために全国に六ケ所の宝塔(六所宝塔)の建立を発願した。六ケ所の宝塔のうち、東を守る安東宝塔の地として浄法寺が選ばれ、弘仁9年(818)、伝教大師がご存命のうちに浄法寺に宝塔が建立された。

 

現在の浄法寺には、五重塔や多宝塔などの建物で一番上に設けられ、一番大切な場所とされる相輪(そうりん)のみを設ける相輪橖(そうりんとう)が建立されている。現在の相輪橖は、江戸時代の寛文12年(1672)に改造され、文政12年(1829)に補修を受けたもので、藤岡市の文化財に指定されている。

感想■日本に暮らす人々のため、国のために伝教大師が発願した六所宝塔の祈りを繋ぐ浄法寺の相輪橖。青空のもと天にそびえるその姿は、六所宝塔建立に込めた伝教大師の祈りや想いを象徴しているように思いました。

薬師堂(戒壇院跡)・道忠禅師供養塔(藤岡市指定文化財)

  • 薬師堂(戒壇院跡)・道忠禅師供養塔(藤岡市指定文化財)
    道忠禅師供養塔《藤岡市指定文化財》
  • 薬師堂(戒壇院跡)・道忠禅師供養塔(藤岡市指定文化財)
    道忠禅師供養塔《藤岡市指定文化財》
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鑑真和上の教えを繋ぎ、伝教大師に協力した名僧・道忠禅師の御遺徳をしのぶ

相輪橖の左隣には、伝教大師とゆかりの深い道忠(どうちゅう)禅師を偲ぶ供養塔と道忠禅師が勅命をもって建立したという戒壇院の歴史を繋ぐ薬師堂が建てられている。

 

道忠禅師は、現在の中国から来日した鑑真和上に学び、具足戒(ぐそくかい)を授けられた。鑑真和上の第一の弟子とも呼ばれる道忠禅師は、東国へ仏教を広めるため東国へと赴いたという。その際、道忠禅師は鑑真和上が中国より請来した貴重な教典の写しをもたらし、道忠禅師が滞在する浄法寺は仏教聖典の総集である一切経を所蔵するお寺として全国的に有名であった。

 

伝教大師は比叡山になかった五千巻の経典の書写を願い、道忠禅師に協力を求めたという。道忠禅師は快諾し、二千巻を書写し伝教大師へ送り届けた。さらに、道忠禅師は法華経一千部八千巻の写経を完成させて、地域の人々とともに東国巡錫の伝教大師を迎えたという。

 

供養塔や薬師堂は、鑑真和上や伝教大師と密接に関わった道忠禅師のお人柄を今に伝える建物である。

感想■奈良時代から平安時代初頭にかけて、群馬県に仏教文化が花開いていたことは知りませんでした。供養塔や薬師堂からは、鑑真和上や伝教大師と関りの深い道忠禅師のお人柄を感じることができ、約1200年前に当地で活躍した先人たちの姿に思いを馳せました。

聖徳太子供養塔・彰徳地蔵尊

  • 聖徳太子供養塔・彰徳地蔵尊
    聖徳太子供養塔
  • 聖徳太子供養塔・彰徳地蔵尊
    聖徳太子供養塔
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聖徳太子との関係を伝える痕跡

伝教大師金色尊像の右手側には、聖徳太子とゆかりの深い聖徳太子供養塔と彰徳地蔵尊がまつられている。

 

聖徳太子供養塔は、聖徳太子の墓と浄法寺に伝えられてきた石塔である。実際は、仏教を篤く信仰した聖徳太子の冥福を祈る供養塔として建立された石塔であると考えられている。

 

近年行われた調査により、供養塔が8世紀後半に造立された石塔であると推定され注目を集めている。この推定は供養塔を構成する石材の形や風化の度合いから導き出され、一番下にある石材とその上の石材が造立当初のものであるという。

 

供養塔の隣にまつられている彰徳地蔵尊は、文化12年(1815)に造立された石造のお地蔵様。浄法寺草創の際に聖徳太子が庵を結んだという近くの地蔵山に近年までおまつりされていたが、ゴルフ場建設のために聖徳太子とゆかりの深い浄法寺に移されおまつりされている。

感想■造立が古代に遡るかもしれないという供養塔や聖徳太子が庵を結んだという逸話を伝える彰徳地蔵尊のお姿から、古代から中世にかけて大いに隆盛したという浄法寺の歴史を大いに感じました。これから新しい発見が見出されることを期待しています。

弁天堂・八功徳池(はっくどくいけ)

  • 弁天堂・八功徳池(はっくどくいけ)
    八功徳池
  • 弁天堂・八功徳池(はっくどくいけ)
    弁天堂
  • 弁天堂・八功徳池(はっくどくいけ)
    八功徳池
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近江の景色を見立てる浄法寺の庭園跡

浄法寺の駐車場から少し歩いた先に、弁天堂と八功徳池が設けられている。八功徳池は、かつて広大な境内を有していたという浄法寺の中庭の池であり、背景に広がる山並みを近江の比叡山を中心として山並みに見立て、池は比叡山の麓に広がる琵琶湖を模して造られているという。

 

八功徳池の中に作られた島には、近江の竹生島から勧請された弁財天をまつる弁天堂が建立されている。

感想■ご住職より、かつての浄法寺は広大な境内を有していたとお聞きし、往時の浄法寺の姿を表す絵図をご説明頂きました。その際、現在は道路で浄法寺の境内と分断されている八功徳池が、かつて浄法寺の中庭であったとお聞きし、往時の浄法寺がどれほど広大な境内を有し、人々の信仰を集めていたかを体感することができました。

report

学生レポート

立命館大学大学院1年

ご住職が「およそ1200年前、みなさんのご先祖様が伝教大師のお話を聞くために浄法寺を訪問したかもしれません。そして長い歴史を越えて、みなさんが再び浄法寺とご縁を結ばれた。」と話されていました。自分自身の先祖が浄法寺を訪問したかを確認する方法はありません。しかしながら、1200年もの長い時間、浄法寺を守り伝えようとした人々の存在があり、その人々の中に自分達の先祖が含まれているかもしれないと思うと、自分自身も長大な人類の歴史を構成している一部分なのだと強く感じました。

普段の日常生活の中で先祖の存在を感じることは難しいですが、地域の学生がお寺で受験勉強をしていたというお話や、黒くすすけている天井は疎開中の人々の煮炊きした後という話を聞いてその土地の日常の歴史を感じました。
自身の先祖や、浄法寺の周りの地域の人々の歴史や存在を強く感じる事ができる温かいお寺でした。

history

ご由緒

寺伝によれば、飛鳥時代に聖徳太子によって草創されたと伝えられてる。その後の奈良時代、鑑真第一の高弟とされる道忠禅師により整備されたという。かつては緑野寺と称し、鑑真和上が日本に伝えた貴重な仏典の写しが道忠禅師により伝えられ、一切経を所蔵する名刹として全国的に知られていた。

 

平安時代の弘仁8年(817)、伝教大師最澄が当地で法華経の講義を行い、9万人が集まり、さらに弘仁9年(818)、伝教大師が六所宝塔の造営を発願し、当地に造営される。

 

戦国時代、北条氏と関東管領上杉氏の戦乱に巻き込まれ、天文21年(1552)に焼失するも、弘治2年(1556)に仮本堂が再建、文化元年(1804年)に江戸の名工と呼ばれた八田清兵衛により現在の本堂が建立された。

 

平成2年(1990)、比叡山開創1200年を記念し、高さ約4.2mの伝教大師金色尊像が境内に建立された。

info

参拝情報

名称
廣厳山 般若浄土院 浄法寺
(こうごんざん はんにゃじょうどいん じょうぼうじ)
所在地
群馬県藤岡市浄法寺甲1094
googleMAP
参拝時間
堂内へのご参拝は事前にご連絡をお願い致します。
参拝料金
志納
宗派
天台宗
御本尊
阿弥陀如来
宝物殿等
なし
アクセス
■公共交通機関
JR八高線(高麗川~高崎)丹荘駅 からバス丹荘駅入口~新宿[神川町]から徒歩14分

■車
藤岡I.C.から県道13号を経由して約20分。
駐車場
備考
紹介映像「群馬県のお寺を巡る(浄法寺:最初~、龍蔵寺:3分50秒~、水澤寺:7分05秒~、珊瑚寺:9分50秒~、善勝寺:13分30秒~)」
https://www.youtube.com/watch?v=LyADZ42hhB4&t=760s